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マイ・マザー [映画(ま)行]

My Mother.jpg
満足度 ★★★★

ケベック出身のグザヴィエ・ドランという青年が、弱冠20歳の時に脚本・監督・主演のすべてをこなしたという作品。みずみずしい感性に満ちていて、明るい未来を予感させてくれる秀作でした。

舞台がケベックなので、カナダ映画ですが全編フランス語で語られています。生粋のフランス映画ではないにもかかわらず、フランス映画らしい雰囲気をあちこちに漂わせているのは、グザヴィエの遺伝子のなせるわざなのでしょうか。

成人男子なら誰でも思春期に味わったことのある、母親に対する複雑な感情を実にうまく表現していると思います。ポスターからは、「少年は残酷な弓を射る」のようなドロドロした、いかにもな話を想像していたのですが、どこにでもころがっていそうな話をサラリと描いたオシャレな作品でした。

残酷な弓.jpg

グザヴィエの他の2作品も観ておかなくてはなりませんな。



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もうひとりの息子 [映画(ま)行]

もうひとりの息子.jpg
満足度 ★★★★★

これは今年度のベストかもしれません。(公開されたのは昨年ですが)

イスラエルのテルアビブで暮らすフランス系ユダヤ人のヨセフは、18歳になり3年間の兵役に就くことになります。ところが採用時の血液検査で、両親と血が繋がっていないことがわかり、さらに調べると驚愕の事実が判明します。つまり彼は、出生時に病院で別の赤ちゃんと取り違えられていたのです。

しかもあろうことか、取り違えられていたのは、敵対するパレスチナ人の子ヤシンでした。日本でも同じような映画がありましたが、こちらはもっと深刻です。相手は言語も宗教も異なり、高い壁で隔てられたヨルダン川西岸地区に住んでいるのです。さらに、ヨセフの父はイスラエル国防軍の大佐というオマケ付き。

そもそもどうしてこういうことが起きたのか、すぐには理解できなかったのですが、ヨセフが生まれたのはイスラエル北部のハイファという古くからある港町で、イスラエル建国後も占領者(イスラエル人)と披占領者(パレスチナ人)が同居しており、湾岸戦争時には米軍の爆撃を逃れるために双方とも避難したようです。

自分たちが何か悪いことをしたわけではないのに、ある日を境に家族の絆が危うくなってゆきます。周囲の息子を見る目も変わってきます。これからどうしたら良いのか、途方に暮れている当事者たちの気持ちが痛いほど伝わって来て、成り行きを固唾をのみながらみるほかありません。

唯一の救いは、取り違えられた息子たちが二人とも立派な大人に育っていたことです。パレスチナ人なのにユダヤ人として育ったヨセフ、ユダヤ人なのにパレスチナ人として育ったヤシン、同じような立場に置かれた者同士、不思議な連帯感に導かれ、お互いの居場所を見つけてゆきます。

あやうく分裂しそうになった家族を繋ぎ止めたのは、双方の母でした。敵だの味方だの言うより、今まで仲良く暮らしてきた家族じゃないか、息子がもうひとり増えただけだ、そう考えて二人の息子を愛する母の偉大さに、ただただ感服させられます。女性監督ならではの母親目線が非常によく活かされた、素晴らしい作品でした。



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ムカデ人間2   @シネマ・クレール [映画(ま)行]

ムカデ人間2.jpg
満足度 ★★★★★

前作は序章に過ぎなかった。人間を数珠つなぎにしてムカデ人間をつくるという奇想天外なアイデアを思い付いたトム・シックス監督は、本作でその鬼畜ぶりをいかんなく発揮している。

あらすじ(公式サイトのものを改変) 真夜中のロンドン。地下駐車場の警備員として働く中年男マーティンは、勤務中に映画『ムカデ人間』のDVDを観てはいかがわしい妄想に耽っていた。 やがてマーティンは、ある欲望を抑えることが出来なくなる。それは、映画と同じように自分もムカデ人間を作りたい、というものだった。 彼はついに行動を開始する。古びた貸倉庫を手に入れると、12人を次々と拉致し、その全員を麻酔もせず見よう見まねでつなげはじめる。


何事も中途半端はいけない。やるなら徹底的にやらないと。しかし、これは常人の耐え得る限度を軽く超えている。「そこまでする?」というシーンが、次から次へと怒涛のごとく押し寄せて来るので、エンドクレジットが出た時にホッとしてしまうくらい、身も心もヘトヘトになった(嬉しい悲鳴)。

社会的タブーも倫理も道徳も完全に無視。むしろこの監督は、良識を踏みにじることで、観客をいかに不快な気持にさせるかに徹しているようだ。これほど悪趣味な作品も近年ちょっとないだろう(もちろん褒め言葉だが)。

たとえ相手が妊婦だって容赦はしない。まさか「屋敷女」みたいにハサミでおなかをギッチョンはないだろうな、と思っていたら…そうきましたか。まいった、もうおなかいっぱい、勘弁して。
屋敷女1.jpg屋敷女2.jpg

「俺は過激で政治的に不適切な映画を作ることに生命をかけている。ロマンチックコメディーなんて作るもんか。」と監督は豪語する。さらに、「『ムカデ人間3』では500人がつながるんだ。」という力強いお言葉も。500人って、おい。

アレクサンドル・アジャの「P2」が正統派地下駐車場ホラーだとしたら、これは反社会派地下駐車場ホラーだ。
P2.jpg

ホラー界にまた強烈なキャラが誕生した。次回作が楽しみだ。
Martin.jpg


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マシンガン・プリーチャー   @シネマ・クレール [映画(ま)行]

Machine Gun.jpg
満足度 ★★★★

麻薬密売人だったが改心し、南スーダンにおいて反政府組織と今もなお闘うサム・チルダーの半世記。

その前に、南スーダンについて知っておく必要がある。
http://allabout.co.jp/gm/gc/293388/

アフリカや中東では、欧米列強の都合で勝手に国境線の引かれていることが多く、スーダンも例外ではない。イギリスに支配されたことにより勝手に国境を決められ、しかも植民地支配において為政者への不満をそらす常套手段として、民族的に異なる北部と南部とを対立させるという構図(分割統治)のもとにスーダンという国は成り立っていた。

しかし、石油を産出する南スーダンは、北に搾取されるくらいなら独立したいという機運が高く、もう何十年も内戦が続いている。南を独立させたくない北側は、隣接するウガンダの反政府組織を支援して南での略奪をほう助するという最悪の状態に陥っている。

親が殺されれば大量の孤児が発生する。彼らはウガンダに連れ去られ、女児は性玩具に、男児は兵士にされるのだ。誘拐された子どもたちの数は4万人に達すると言われている。

麻薬密売人をしていたサム・チルダーは、ある事件をきっかけに宗教に目覚め、教会関係者と訪れたスーダンで、この驚くべき現状を目の当たりにする。子どもたちを救ってやらねば、その一心で彼はまず自宅の近くに教会を建て、寄付金を募り、南スーダンに孤児院を建設する。ウガンダの反政府組織が襲ってくるとマシンガンを持って容赦なく応戦する。

この容赦ない所が議論を呼び、彼を悩ませることになるのだ。
暴力では根本的な解決ができないのはよくわかっている。しかし、話し合いの機会すら持てない無政府状態にある南スーダンの現場では、暴力に対して暴力で対抗するしか、今のところは方法がないのではなかろうか。

「もし、あなたの子供がテロリストに誘拐されたとする。俺がその子を連れ戻すと言ったら、あなたはその方法を問うだろうか?」

そういうサムの言葉に、計画停電ごときで騒いでいる平和な国の住民が、あれこれ言う権利はない。ただ、現場で汗と血にまみれているサムに一言だけ言いたい、「スーダンの子どもたちのためにも、あんたの家族のためにも、絶対に死なないでくれ。」と。


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モールス   @TOHOシネマズ岡南 [映画(ま)行]

モールス.jpg
満足度 ★★★★

決して成就することのない、せつない恋の物語「僕のエリ 200歳の少女」のハリウッド・リメイク。原題は " Let Me In "、つまり、「どうぞお入り」と言われて家に招き入れられないと大変なことになる少女の話だ。

いじめられっ子の少年オーウェンは、アパートの中庭にあるジャングルジムに座って、いつも一人で遊んでいる。雪の積もったある日、彼は寒いのに裸足でいる謎の少女アビーに出会う。

興味津々の彼に、「友達にはなれないよ。」と冷たく言うアビー。「歳はいくつ?」と訊いても、「12歳くらい。」といい加減な返事。「くらいってどういうこと? 僕は12歳と8カ月と9日だけど。」というオーウェンのオタクぶりが可笑しい。

オーウェンが持っていたルービック・キューブをきっかけに、二人の奇妙な交流が始まる。

時代設定は80年代。子どもたちはルービック・キューブにハマり、テレビではレーガン大統領が「悪の帝国」の演説、ゲームセンターではパックマンが大人気で、店員はボーイジョージのコスチュームだ。

流れる音楽も当然80年代。カルチャークラブやD.ボウイが懐かしい。




舞台はスウェーデンからアメリカに移されているが、原作は驚くほど忠実に再現されていて、セリフもほとんど同じだ。しかし、登場人物の描き方はガサツで、原作にみられた叙情性は失われており、恋の物語どころか、単なるホラーになってしまった。アメリカ人には人生の機微などわからんのでしょうな。

しかし、原作にはなかった素晴らしいところも2点あった。

まず最初、オーウェンが学校の授業で「ロミオとジュリエット」を読んでいて、これがアビーとの関係につながっていること。「ロミオとジュリエット」は、かなわぬ恋の代表的な物語だから、これをモチーフとして挿入したのは、とても効果的だったと思う。

もうひとつ、オーウェンが自室から望遠鏡で近所を覗く趣味を持っているという設定。シャイア・ラブーフ主演の「ディスタービア」とか、古いところではヒッチコックの「裏窓」を連想させるが、このことが後で生きてくる脚本も巧いと思った。

ディスタービア.jpg裏窓.jpg

ところで、クロエ・グレース・モレッツが芦田愛菜に見えて仕方ない。

クロエ.jpg
芦田愛菜.jpg

おまけに、コディ・スミット=マクフィが中川家礼二に見えて仕方ない。

コディ.jpg
中川家礼二.jpg

・・・・・・・・ そりゃないか。



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ミスター・ノーバディ   @シネ・リーブル梅田 [映画(ま)行]

ミスター・ノーバディ.jpg
満足度 ★★★★☆

これは本当に凄い映画だ。よくこんなものを創れたものだと感心する。

しかし、タイトルがこれじゃ、あまり観に行こうかっていう気にはなれませんぜ。なんか、J-POPのバンド名みたいだし、もうちょっとヒネッたタイトルは思いつかなかったのか、それだけが残念だ。後世に残すべき作品だと思うけど。

(参考画像) この人たち、誰だかわかる?
nobodyknows.jpgNOBODY.jpg

時は2092年、科学の進歩は人間の体細胞の老化を完全に阻止できるまでになり、誰も死なない世の中になっていた。118歳になったニモは、 " The last mortal " 、つまり最後に残った「死ぬことのできる人間」として世界の注目を集めていた。

死を目前にしてニモの記憶は過去をさかのぼり、9歳の頃に戻ってゆく。当時、両親が離婚し、母について家を出るか、父とともに家に残るかの選択を迫られていた。その時点から、母について行った場合の人生と、父と残った場合の人生との、両方がパラレルに描かれてゆく。

さらに、その後に出逢う三人の女性それぞれと結婚する場合としない場合の、その後の人生も加わり、何通りもの人生が平行して描かれることになる。

よく観ていないと混乱してしまいそうになるが、これが非常に面白い。

で、結局どれが実際の人生だったの? などと、無粋なことは考えたくない。人生の岐路に立った時、どちらを選んだかで大きく変わるその後の人生。選ばなかった方の人生も体験させてくれる、素敵な大人のファンタジーだった。

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モンガに散る   @シネマサンシャイン大街道 [映画(ま)行]

モンガに散る.jpg
満足度 ★★★★

台湾には桜がないらしい。

主人公のモスキートが高校生時代、「大人になったら何がしたい?」と訊かれて、「日本に行きたいよ。桜の花を見てみたいんだ。見たことあるかい?」と答え、誰もが首を振るシーンがある。

そのシーンがエンディングの布石となっていて、桜を見たことがないことは重要なポイントなのだ。

モスキートは幼い頃からいじめられっ子で、友だちと呼べる相手もおらず、学校を転々としていた。新しく越してきた台北一の繁華街モンガの高校で、極道だが気の良い4人に目をかけられ、仲間に加わる。

「どうして俺を?」  「指が5本なきゃ拳がつくれないだろ。」

生まれて初めて友だちができたことを喜ぶモスキート。だが、高校は退学し黒社会に入って、本物の極道になってしまう。

モンガの黒社会では、地域での商売にこだわり飛び道具を嫌うトラディショナルな極道と、外部と取引し飛び道具も使うニューウェーブの極道とが凄絶なシマ争いを繰り広げていた。モスキートたちもその流れに巻き込まれ、翻弄されてゆく。

原題は「モンガ」だけなのに、邦題は「モンガに散る」と、思いっきりネタバレしている。こんな余計なことをした配給会社の阿呆に一度とことん説教してやりたい。

「極道なんて、最期は道端で死ぬのさ。」、劇中でモスキートがそう言った時にはじめて、あ、やっぱり彼も最期は死ぬんだな、そう感じさせるべきだったんだ。何もかもブチ壊しじゃないか。

韓国映画の名作「友へ チング」の世界を髣髴とさせ、胸が熱くなる。とりわけグループの頭脳役モンクを演じたイーサン・ルアンの好演が光っていた。彼は役づくりのために本物の極道に会っていろいろと教わったそうだ。

もともと俳優出身だというニウ・チェンザー監督は、黒社会のボスとしても出演していて、シブい演技を見せている。

「風が吹けば草はなびく。若い頃自分は風だと思っていたが、結局は草だったとわかったよ。若いうちならやり直しがきく。よく考えろ。」そうモスキートに語るところなんかは、惚れそうになるくらいカッコいい。

素晴らしい作品にもかかわらず、公開されている劇場は非常に少なくて、京阪神は京都のみ、中国地方は広島のみ、四国は松山のみという寒い状況。広島は都合が合わなかったので、今回は松山まで車をとばして観に行くことにした。

岡山-松山は180km、瀬戸大橋を渡り石鎚山を横目に見ながらのドライブは実に快適だった。しかも契約駐車場のチケットを見せると料金が1000円に割引されるという嬉しい計らいに涙が出そうになった。

松山の繁華街にあるシネマサンシャイン大街道は、入り口にオススメ度が掲示してあって実にユニーク。でも、この作品がデート向きとは思えないけどなあ。

MONGA.jpg
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ミレニアム2 火と戯れる女 / ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士   @シネマ・クレール [映画(ま)行]

ミレニアム.jpg
ハードボイル度 ★★★★★
満足度      ★★★★

リスベット かっけ~! まさにその一言に尽きる。

前作のレヴューでも書いたように、このシリーズはリスベットというキャラクターを登場させたことで、成功は約束されたようなものだ。パンク&ゴシックなヴィジュアル、ストイックなライフスタイル、天才的なハッキング能力、どれも突き抜けてカッコいい。

今回はシリーズ2作目と3作目が同時公開となったため、あわせて4時間半の長丁場だ。観る前に気力と体力をつけておかなくてはならない。ということで、「およべ」のエビ天おろしうどんを食べてから臨むことにした。

「およべ」というのは、岡山市表町一丁目にあるうどん屋。
http://r.tabelog.com/okayama/A3301/A330101/33002859/
およべ.jpg
アーケードの一本西の細い路地にあり、間口は一間ほどしかないので、よほど注意していないと見落としてしまうが、恐るべきポテンシャルを秘めた店なのだ。
メニュー.jpg
見よ、このメニューの多さを。これらすべてに「熱いの」と「冷たいの」があり、「うどん」と「そば」も選べて、大盛りと中盛りあり。さらに、トッピングは客の意のまま。「かもなんばん に 揚げ と あられ をトッピングで。」みたいな超わがままなオーダーも可能。200円プラスで丼ものメニューの中から半丼(半分量の丼)を付けることもできる。いわば、岡山うどん界の千手観音とでも言うべき店なのだ。
うどん.jpg
で、私の大好物である「エビ天おろしうどんの冷たいの」。
稲庭うどんをベースに、エビや野菜の天ぷら、だし巻き卵、かまぼこ、煮しいたけ、薬味をトッピングし、冷たいダシがぶっかけてある。中心に盛られた生姜添え大根おろしの辛味が喉から鼻にツーンと抜けて、気合の入ること間違いなしだ。

ちなみに、清輝橋にある姉妹店にも同じメニューがあるが、ベースが普通のうどんなので問題外。ここは稲庭うどんでないと絶対にダメだ。ぶっちゃけ、天ぷらは清輝橋店の方が美味しかったりするのだが、表町本店は、フレッシュトマトの天ぷらなどという、とんでもない変化球を投げてくることがあり、店の雰囲気ともども捨て難い味があって、私は本店の方が好きだ。

おっと、ローカルなグルメレポートはいい加減にしておいて、映画の話。

スウェーデン映画だから、当然セリフはスカンジナビア語で話されている。語感が東北の言葉に似ているのは、寒いから口をあまり開けないで喋るせいかもしれない。「ありがとう。」は " Tack." らしい。" Thank you." を縮めたような感じ。やはり東北弁に似ている。

いちおう三部作は終了したわけだが、ちょっと待てよ、背中の刺青の秘密がまだ明らかになってないぞ。エンディング直前にミカエルが「ちゃんと連絡くれよ。また必ずな。」と言っていたから、もしかしたら続編をつくるつもりかもしれない。

もう一度リスベットに逢えるなら、続編は大歓迎だ。


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マチェーテ   @MOVIXココエあまがさき [映画(ま)行]

マチェーテ.jpg
満足度 ★★★★★

ロバート・ロドリゲス監督 最高!  ダニー・トレホも 最高!

かつてこれほどまでに痛快なアクション映画があっただろうか? 日頃の鬱憤を一気に晴らしてくれる、今年度最高のリフレッシュ・ムーヴィー。

しかし、どうして岡山で観られないんだ? ちょっとマチェーテ!
興奮のあまり、オヤジギャグを口走ってしまったじゃないか。

仕方ない、また尼崎まで遠征することにしよう。先月、免停をくらったばかりなので、各駅停車の電車で2時間半耐えてみる。いいんだ、ついでに「クロッシング」も観て帰るから。

この作品の完成を、ロドリゲス・ファンは首を長くして待っていた。
その前に、まず「グラインドハウス」の話からしなくてはならない。

グラインドハウスというのは、かつてアメリカの各都市に存在したB級映画を何本か続けて観せるチープな映画館のこと。そういう映画を観て育ったクエンティン・タランティーノ監督が、当時の雰囲気を後世に残したいと考えて、ロバート・ロドリゲス監督に声を掛け、2007年に同名の映画を作った。

それは、タランティーノ監督による「デス・プルーフ」とロドリゲス監督による「プラネット・テラー」の2本をつなげて、「グラインドハウス」という1本の作品に仕上げ、それらの間に実際には本編の存在しない映画のフェイク予告編まで作って入れるという、凝りに凝ったものだった。

その予告編だけの映画のひとつが「マチェーテ」だったというわけだ。いずれ本編も必ずつくるという監督の言葉を信じて、ファンはその日を待っていた。そして、やっと陽の目を見たのだ。

一粒で六度おいしいグラインドハウス・コンプリートBOXは、絶対におすすめ。ぜひとも一家にひとつ。我が家じゃ、家宝になっている。
グラインドハウス.jpg

これまで数限りない映画に悪役として出演してきた稀代の悪人顔役者、ダニー・トレホにとって最初の主演作であるという点でも、この作品の意義は大きい。ロバート・デ・ニーロやスティーヴン・セガールは、彼の初主演を祝って自ら出演をオファーしたのだという。

その上、ジェシカ・アルバ、リンジー・ローハン(見事な脱ぎっぷり)、ドン・ジョンソン(懐かしいね、マイアミ・バイス)まで。おそらく出たかった人はもっとたくさん居るだろうが、全員出していたらギャラがもつまい。

個人的には、ジョン・マルコヴィッチに出てほしかったかな? 
「コン・エアー」での二人の悪役ぶりが突き抜けていたので。

映像はもとより音楽のセンスも抜群なのがロドリゲス作品の特徴。今回も思いっきり楽しませてくれた。またまた次の作品が待ち遠しい。


【本作のキーワード】
冒頭、悪の巣窟への突入を嫌がる助手席の同僚に向かって・・・
" Sin nosotros, quien? "  (俺たちがやらなきゃ、誰がやる?)

しかし、気付くと隣の同僚は蜂の巣に・・・
" Lo siento."   (申しわけねえ)



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ミックマック   @シネマ・クレール [映画(ま)行]

ミックマック.jpg
満足度 ★★★★

天才という言葉は、ジャン=ピエール・ジュネ監督のためにあるのではないかと思う。「アメリ」で世界中にセンセーションを巻き起こした監督の待ちに待った新作。期待を裏切らない素晴らしい作品だった。

バジルはレンタルビデオ店に勤めるサエない男。ある夜、店の前で発砲事件があり、流れ弾が頭に当たってしまう。病院に運ばれたものの、弾は危険な位置にあり、摘出すべきかせざるべきか、脳外科医はコインで決めることにする。

滅菌状態のはずの手術室で、やおらナースがポケットからコインを取り出し、バジルの体の上でトス、「表か、じゃ手術は止めとこう。」というシーン、ドリフのコントのようで面白い。

彼はもう死んだものと思われていたので、アパートは引き払われ、仕事も後任者が決まっていた。さらに運の悪いことに、保管されていた家財道具も何者かに盗まれていた。家も仕事も失ってしまった彼は、路上生活を余儀なくされる。

そんな時、廃品回収で生計を立ているプラカールという男に声をかけられ、彼の仲間のもとに案内される。そこでは、発明家、人間計算機、人間大砲、言語オタクなど、それぞれに傑出した才能を持ちながら、社会からは必要とされていない者たちが、身を寄せ合って生きていた。

人間大砲を演じているドミニク・ピノンと、仲間の料理番を演じているヨランド・モローは、「アメリ」にも出演していて、今回も強烈な個性を発揮しているので、まさに「アメリ」のあの世界を再び体験することができる。

そういえば、アメリが恋をする青年もレンタルビデオ店の店員という設定だった。おそらくジュネ監督は、クエンティン・タランティーノ監督をモデルにしているのではないかと私は思うのだが、どうだろう?(タランティーノ監督が業界に入る前、レンタルビデオ店でアルバイトをしていたという話は有名)

廃品回収を手伝うようになったバジルは、ある日街で兵器製造会社を見つける。彼の父は30年前、アフリカで地雷処理をしていて爆死しているが、その地雷を作ったのがまさにその会社だった。そして、その向かいには自分の頭に撃ち込まれた銃弾の製造会社もあった。

そこで彼は決心する。自分の人生を狂わせてしまった二つの兵器会社に復讐してやろうと。もちろん仲間たちも協力を惜しまない。これまで社会から必要とされてこなかった彼らにも、やっと役立つ時が来たのだ。果たしてうまくゆくのか?という話。

クラシカルな映像は「アメリ」そのもの。「アメリ」を好きな人は、本作も必ず気に入るだろう。コミカルな物語の中にもピリリとした毒が隠されていて、独特の世界が繰り広げられる。フランスの文化の深さをあらためて教えてくれる秀作。


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