マシンガン・プリーチャー @シネマ・クレール [映画(ま)行]
満足度 ★★★★
麻薬密売人だったが改心し、南スーダンにおいて反政府組織と今もなお闘うサム・チルダーの半世記。
その前に、南スーダンについて知っておく必要がある。
http://allabout.co.jp/gm/gc/293388/
アフリカや中東では、欧米列強の都合で勝手に国境線の引かれていることが多く、スーダンも例外ではない。イギリスに支配されたことにより勝手に国境を決められ、しかも植民地支配において為政者への不満をそらす常套手段として、民族的に異なる北部と南部とを対立させるという構図(分割統治)のもとにスーダンという国は成り立っていた。
しかし、石油を産出する南スーダンは、北に搾取されるくらいなら独立したいという機運が高く、もう何十年も内戦が続いている。南を独立させたくない北側は、隣接するウガンダの反政府組織を支援して南での略奪をほう助するという最悪の状態に陥っている。
親が殺されれば大量の孤児が発生する。彼らはウガンダに連れ去られ、女児は性玩具に、男児は兵士にされるのだ。誘拐された子どもたちの数は4万人に達すると言われている。
麻薬密売人をしていたサム・チルダーは、ある事件をきっかけに宗教に目覚め、教会関係者と訪れたスーダンで、この驚くべき現状を目の当たりにする。子どもたちを救ってやらねば、その一心で彼はまず自宅の近くに教会を建て、寄付金を募り、南スーダンに孤児院を建設する。ウガンダの反政府組織が襲ってくるとマシンガンを持って容赦なく応戦する。
この容赦ない所が議論を呼び、彼を悩ませることになるのだ。
暴力では根本的な解決ができないのはよくわかっている。しかし、話し合いの機会すら持てない無政府状態にある南スーダンの現場では、暴力に対して暴力で対抗するしか、今のところは方法がないのではなかろうか。
「もし、あなたの子供がテロリストに誘拐されたとする。俺がその子を連れ戻すと言ったら、あなたはその方法を問うだろうか?」
そういうサムの言葉に、計画停電ごときで騒いでいる平和な国の住民が、あれこれ言う権利はない。ただ、現場で汗と血にまみれているサムに一言だけ言いたい、「スーダンの子どもたちのためにも、あんたの家族のためにも、絶対に死なないでくれ。」と。
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