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ザ・レイド [映画(ら)行]

THE RAID.jpg
満足度 ★★★★☆

RAIDっていうと、コンピューター用語を連想しますが、そうじゃなくて、「ガサ入れ」という意味の警察用語だそうです。人生初のインドネシア映画ですが、これが面白いのなんの。初めて「燃えよドラゴン」を観た時の、あのたとえようもない高揚感を思い出しました。

(あらすじ)
ジャカルタの麻薬王が支配する30階建ての高層ビルを、20人のSWAT部隊が急襲する。ビルの内部には麻薬工場があり、住民のほとんどは麻薬王の手下であるギャングたち。ガサ入れの情報はなぜか事前に漏れていて、ビルに侵入したSWAT隊員たちは無数の敵の餌食となる。

最初のうちは銃撃戦ですが、そのうちに銃弾が尽き果て、双方相乱れての肉弾戦に突入します。そこからがこの作品の真骨頂。インドネシア伝統のシラットという武術を駆使した、芸術的なまでに美しい武闘劇は、いやおうなく観る者を熱くさせます。

何より素晴らしいのは、武闘シーンにワイヤーアクションやCGを使わず、すべてガチでやっている点です。これがものすごくリアルで心を打たれます。

本来、アクション映画って、こういう風に汗まみれ傷まみれでやってたはずです。それがいつからかワイヤーを使うのが当たり前になり、ウソ臭くなってしまいました。この作品は原点を見なおすことを教えてくれているような気がします。ブルース・リーがいつまでも愛されるのは、徹頭徹尾ガチで演ってたからですから。



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ログ・リバー [映画(ら)行]

ログ・リバー.jpg
満足度 ☆(時間のムダ)

GOEMON.jpg

パッケージからして「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ」のパクリだし、
ロクな作品じゃないことは観る前から予想してましたが、
アイ・スピット.jpg
まさかここまでヒドいとは。「アイ・スピット…」に失礼でしょ。

父親を亡くし、遺灰をかつて父と過ごした川に撒こうと、携帯の電波も届かないようなド田舎にやってくるヒロインに、「許可もなく遺灰を撒いちゃいけないよ。」と声をかけてくる怪しいオッサン。あんまり怪しいので、その場を立ち去ろうとするが、停めていたはずの所に車が無くなっている。「もう遅いし、ウチに泊ったら?」という優しい言葉が悲劇のはじまり。

よくある「監禁もの」ですが、何もかも中途半端で不完全燃焼。
監禁者の異常さを描くなら「ミザリー」ほど、拷問の苦痛を描くなら「隣の家の少女」ほど、とにかく徹底的にやらなきゃ。
ミザリー.jpg隣の家の少女.jpg

途中出てきた「箱男」も意味不明。そしてあのエンディングもね~
はっきり言って時間の無駄でした。さ、次いってみよう。



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ル・アーヴルの靴みがき   @梅田ガーデンシネマ [映画(ら)行]

LE HAVRE.jpg
満足度 ★★★★★

文句なしの5つ星。これは何回でも観たい。

あらすじ(公式サイトのものを少し改変)
北フランスの港町ル・アーヴル。かつてはパリでボヘミアン生活を送っていたマルセル・マルクスだが、今は駅前で靴みがきをしながら生計を立てている。家では献身的な妻アルレッティと愛犬ライカが彼の帰りを待っている。隣近所の人々の温かな支えも、彼にとってなくてはならない大切な宝物だ。そんなある日、港にアフリカからの不法移民が乗ったコンテナが漂着する。警察の検挙をすり抜けた一人の少年イドリッサとの偶然の出会いが、マルセルの人生にさざ波をおこす。同じ頃、妻のアルレッティは医師から余命宣告を受けるのだった…。

人の書いたものにケチをつけたくはないが、「パリでボヘミアン生活」って言われてもなあ… 自由気ままに暮らしてたって意味なんだろうけど、わたしらオヤジには葛城ユキしか思い浮かびませんぜ。

ま、冗談はさておき、アフリカからコンテナに乗ってきた少年は、母の働いているロンドンに行こうとしている。もちろん違法なのだが、マルセルはそれを承知で助けてやろうとするのだ。

移民(難民)問題に対してフランス、とくに前大統領のサルコジは冷徹な姿勢をとっており、不法入国者に食事を与えたりしたらフランス国民でも逮捕されるらしい。

そのあたりの事情は、ロンドンに移住した恋人に逢うためドーバー海峡を泳いで渡ろうとするクルド人青年の物語「君を想って海を行く」に描かれている(レヴューはこちら)。イギリスの方がまだ移民に寛容なので、彼らはまずロンドンを目指すのだろう。

マルセルの企みに隣人たちはすぐに気付くが、だからといって警察に密告したりせず、むしろ一致団結して彼をサポートする。決して裕福ではない彼らにできることなんてわずかなのに、困っている人のため自分にできることを精一杯やろうとする厚い人情には心を打たれる。

逃げた少年を追いかけるモネ警視もいい味を出していた。
「真の悪党には冷酷だが、私にも優しさはあるのだ。」

アキ・カウリスマキ監督の作品には、いかにもスター然とした人は出てこない。どこにでも居る市井の人々の平凡な生活を描きながら、人にとって大切なことは何かを訥々と語りかける作品たちは、見かけこそ質素だが、ダイアモンドのような輝きを持っているのだ。

でも、マルセルたちのやったことは違法なんじゃないの? という無粋な御意見をお持ちの方は、杉原千畝の物語を読んでみるといい。
法は人を守るためにあるもの、法のために人があるんじゃない。

杉原千畝(すぎはら ちうね)
第二次世界大戦中、ナチスドイツのポーランド侵攻により国を追われたユダヤ系ポーランド人たちは、リトアニアの日本領事館に殺到した。彼らはシベリア経由で日本に渡り、そこからアメリカに亡命することを希望していた。領事代理として赴任していた杉原は、外務省からの訓命に反し、不眠不休で大量のビザを発給し、およそ6,000人の避難民を救った。

リトアニア杉原記念館ホームページ
http://www.geocities.jp/lithuaniasugiharahouse/indexj.htm


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REC3 ジェネシス   @MOVIXココエあまがさき [映画(ら)行]

REC3 GENESIS.jpg
満足度 ★

予想通りのゴミ映画だった。いいんだ、想定内だったから。このあと大阪に移動して「ル・アーヴルの靴みがき」を観るのがこの日の主目的だったし。今回アンヘラ(マヌエラ・ベラスコ)が出ないとわかった時点で、興味失せてたし。

すでに最終章となる4作目も撮影進行中ということで、「つなぎ」感ありあり。居酒屋のカウンターに座ったら挨拶がわりに出てくる突き出しみたいなもん。はなっから特別料金1000円って決めてるくらいだから、製作者側もそのつもりだったんだろうけど、せいぜい170円くらい(JRの初乗り料金かい!)の価値しかなかったぞ。

監督がインタヴューでも言っているように、今回は「キャプテン・スーパーマーケット」をはじめとするこれまでのホラー映画へのオマージュ的な位置づけだと。

たしかに、チェーンソー使うところとか、ホラーなのにむしろコメディーっぽく描いてるところとかは、「キャプテン・スーパーマーケット」を彷彿とさせるものがあったかな。

ドアがバリバリッ! ヒエーッ! のところは「シャイニング」か?
REC.png
Shining.jpg
はたまた、人間二枚おろしは「クライモリ2」の導入部か?

しかし、全然怖くない。チェーンソーで切株をやりたかったんなら、アレクサンドル・アジャの「ハイテンション」くらい思い切ってやらなきゃ。
High Tension.jpg

内容があまりにもカスなので、途中から気持ちを切り換えて、独学中のスペイン語のリスニング教材として使うことにした。

Hola! Que tal?(やあ、元気?)  Que bonita!(まあ、きれい!)
Te quiero.(愛してるわ)  Venga!(来て!)  Vamos!(行こう!)
No se.(知らないわ)  Lo siento.(気の毒に…)

あまりにも早過ぎて、そのくらいしか聞き取れなかったけど、ヒロインの決めゼリフはちゃんと聞き取れたぞ(たぶん)。

" Hoy es mi dia! "  (今日は私の日なのよ!)

しかし、「なめたらいかんぜよ!」とか「カ・イ・カ・ン!」に比べると、インパクトはうすいな。古過ぎてわからんか?
鬼龍院花子の生涯.jpgセーラー服と機関銃.jpg

結婚式で新郎が新婦に向かって唄う歌がなかなか良かった。

"No puedo vivir sin ti" というタイトルで、英語に直すと"I can't live without you" (君が居なけりゃ生きてゆけない)みたいな感じだろう。

・・・no puedo mas  (もうこれ以上無理だよ)
・・・yo quiero mas  (愛がもっと欲しいのさ)
きれいに韻を踏んだ歌詞もなかなかシャレてて良い。

さ、次は大阪に移動して「ル・アーヴルの靴みがき」だ。



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ロシアン・ルーレット   @MOVIXあまがさき [映画(ら)行]

ロシアン・ルーレット.jpg
満足度 ★☆

ハリウッドでリメイクしたところでロクなことにはならないという良い例。

オリジナルは、グルジア出身のバブル兄ィ(ゲラ・バブルアニ監督)による「13 / ザメッティ」。ザメッティとは、グルジア語で13を意味する言葉らしい。

フランスに住む貧しいグルジア移民セバスチャンが、仕事に入った家で偶然大金を手にできる話を耳にし、何をするのかわからないまま、13人のプレイヤーによる集団ロシアン・ルーレットに参加してしまうという怖い話。

主役のセバスチャンを演じたバブル兄ィの実弟ギオルギ・バブルアニをはじめ、出演者が無名の役者ばかりだったので、ドキュメンタリーでも観ているかのようなリアリティがあったし、モノクロの映像とフランス語の台詞がフレンチ・ノワールのようで、非常に印象的な作品だった。

それを同じ監督がハリウッドでリメイクすることに何の意味があるというのか? フランス語を英語に吹き替えなくてもよくなったアメリカ人が喜ぶくらいのものだろう(ヤツらは字幕で映画を観ようとはしない)。あるいはバブル兄ィの自己満足か?

結果は観る前からわかっていたようなものだったが、やはりオリジナルに並ぶどころか、遠く及ばず、「スーパー8」と並んで、今年度「残念だった大賞」の最右翼。まあ、せいぜいオリジナルとの違いを見つけるくらいの価値しかない。

今回は、いきなりロシアン・ルーレットのシーンから始まるが、これで完全にシラけてしまう。「どこに連れて行かれるんだろう?」「何が始まるんだろう?」と思いながら初めてゲームを見た時の主人公の驚きが、これでは生きてこない。こういうのを蛇足と言うのだ。

プレイヤーの数が17人に増えているのも意味不明。ミッキー・ロークの演じた中途半端なキャラクターは、余計としか思えない。彼を出演させたかっただけで数を増やしたのなら、それは本末転倒というものだろう。
MR.jpg

それでは、オリジナルとリメイクの違いを検証してゆこう。

主人公の雰囲気は、オリジナルに何となく似せてある。
ZT.jpgRR.jpg

主人公の環境
オリジナルでは、足が悪くて働けない兄に代わって家計を一人で支えている屋根ふき職人。リメイクでは、大怪我をした父の入院費を払うために家を担保に入れて借金した電気工事技術者。

ゲームへの招待状
オリジナルでは、机の上に置いていたのが風に飛ばされて主人公の道具箱の上に偶然落ちる。リメイクでは、ライティングデスクの引き出しにしまうのを主人公が見ていて、帰り際にこっそり盗む。

引き金を引く合図となる電球の模様
オリジナルでは単純な直線。リメイクでは蜘蛛の模様になっている。

賞金を手に入れてから
オリジナルでは、駅に着いたらすぐに賞金を家に送り、兄に電話する。リメイクでは、駅で列車を待っている時に警察に連行され、とっさに賞金を駅のごみ箱に隠す。警察に釈放されてから賞金を家に送り、母に電話する。

羊のぬいぐるみ
リメイクでは、家に帰る前、幼い妹のために羊のぬいぐるみを買ってやるが、これはオリジナルにはなかったシーン。

主人公に最後まで絡んでくる兄弟
オリジナルでは、行きの列車の中で登場し、車掌とトラブルを起こして、序盤から、こいつら只者ではないな、という雰囲気を漂わせる。リメイクには、そのシーンなし。

とまあ、違いといってもたいした違いではなく、おそらくオリジナルを発表した後で、あそこはこうしておけばよかったと監督が思っていたところを変更したのだろうが、かえって不自然になってしまった。

いずれにしても、この作品を観るくらいなら、オリジナルを観た方が絶対にいい。バブル兄ィは、ハリウッド・バブルに目がくらんでしまったのだ。

ところで、ロシアン・ルーレットで思い出すのは、シカゴのギタリストであったテリー・キャスだ。友人とふざけていてロシアン・ルーレットをおこない、弾が装填されていないと勘違いして亡くなってしまった。

テリーの粘っこいギターと、メッセージに溢れた曲が好きだったなあ。




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ロスト・アイズ   @シネ・リーブル梅田 [映画(ら)行]

ロスト・アイズ.jpg
満足度 ★★★★

スペイン語で眼のことを " los ojos " という(二つあるので複数形)。
スペイン語圏には、その " los ojos " をタイトルに付けた名作が多い。

たとえば、" Abre Los Ojos "、「オープン・ユア・アイズ」という英語のタイトルで良く知られていて、のちにトム・クルーズ主演の「ヴァニラ・スカイ」としてリメイクされた。主演のエドゥアルド・ノリエガは、トム・クルーズに勝るとも劣らない美貌の持ち主。ぺネロぺ・クルスは双方ともに同じ役で出演している。

それから、" El Secreto de Sus Ojos "、「瞳の奥の秘密」という邦題で公開され、アルゼンチン映画の実力を見せつけた名作。出演している役者が実力のある人ばかりで、撮影や音楽のレベルも非常に高く、2010年を代表する作品だった。

オープン・ユア・アイズ.jpg瞳の奥の秘密.jpg

そして、本作の原題は " Los Ojos de Julia " という。まさに名作にふさわしいタイトルじゃないか。直訳すると、「フリアの眼」という意味。それでは単純すぎると考えたのか、配給会社(プレシディオ)は「ロスト・アイズ」などという訳のわからん邦題を付けてしまった。

眼を失う話ではなくて、視力を失うだけなんだから、「ロスト・アイズ」じゃおかしいだろう。良い邦題を思いつかないなら、「ロス・オホス・デ・フリア」のままでいいじゃないか。

それに、「大ヒットホラー『REC』を超え、スペインNo.1ヒット」という安っぽいチラシのコピー… やれやれ… この程度のコピーしか思いつかないのが、日本の配給会社の現状なのだ。センスの無い配給会社が余計なことをして、作品の価値をおとしめるのを見るたびに、本当にやりきれない気持ちになる。

まあそれはさておき、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロが製作に関わっているとあれば、観ないわけにはいかないだろう。あの独特の世界観をどこまで発揮できているか、期待に胸を膨らませて観に行った。

サラとフリアは双子の姉妹。二人とも進行性の角膜疾患にかかっていて、先に視力を失ってしまった姉のサラは角膜移植を受けたが、自宅で首を吊って死んでいるのを発見される。姉の死を不審に思った妹のフリアは、一人で調査をはじめ、「見えない男」の存在を突き止めるが、徐々に視力が低下してゆき… といったストーリー。

配給会社は、ホラーと決めつけて売り込もうとしているが、さほど怖くはなく、むしろ大人のサスペンスといったおもむき。視力喪失系サスペンスの名作「暗くなるまで待って」や「見えない恐怖」とは少し違ったテイストで、個性的な作品だった。

サラが首を吊る際に「見えない男」が嫌がらせの意味で流す曲が " The Look Of Love " だったり、生前に男と訪れた村の名前が " Bella Vista(美しい眺め) " だったりと、さりげなく隠されたギミックを見つけるのも楽しい。



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ロビン・フッド   @TOHOシネマズ岡南 [映画(ら)行]

ロビンフッド.jpg
満足度 ★★★★

♪私のロビンフッド様 いとしのロビンフッド様
♪どこを旅しているのです リンゴから矢を抜いたまま…

あれ? 
ロビン・フッドにもリンゴを射抜いたエピソードあったっけ?

郁恵の心を射抜いた日本のロビン・フッドこと、渡辺 徹です。
今じゃすっかりメタボ・フッドになっちまいましたけど(苦笑)
ロビン・フッドつながりってことで、この映画を観てきました。

ところで、ウチの奥さん、「アル・パシーノ+(たす)アラン・ドロン<(より)あなた」って歌も唄ってたの知ってる? 今にして思えば、よくあんなこっぱずかしいタイトルつけたよね~
おっといけない、映画の話だった。

ロビン・フッドの映画といえば、すでにケヴィン・コスナーのとか、ショーン・コネリーのがあるのに、今さらどうして?と思ったけど、さすがは「グラディエイター」のコンビ、観ごたえのある大作に仕立て上げてくれました。

ラッセル・クロウが演ずると、酒好きで喧嘩っ早いロビンになるんじゃないかと思いましたが、それは最初だけで、物語の進行とともに落ち着いて頼りがいのある人物になってゆきます。愛嬌に満ちたラッセルの演技のおかげで、ケヴィンの演じたチャラいロビンなど完全にかすんでしまいました。

特筆すべきは物語終盤、フランス軍との海辺での交戦シーンです。
第二次世界大戦におけるノルマンディー上陸作戦を描いた「プライベート・ライアン」の冒頭を占める戦闘シーンは、映画史に残る奇跡の20分と言われていますが、それに勝るとも劣らない名シーンだったと思います。

ちなみに、撮影監督は「グラディエイター」でもその手腕をいかんなく発揮していたジョン・マシソンで、この作品でもリドリー・スコット監督の演出と彼の撮影技術とが見事にマッチして、壮大なスケール感を生んでいました。

人間国宝級の演技を見せたマックス・フォン・シドー、相変わらず芸達者なケイト・ブランシェット、控えめながらも印象に残ったウィリアム・ハートと、脇を固める俳優陣も実に良い仕事をしていましたね。

それでは、私の最大のヒット曲「約束」を聴きながらお別れしましょう。

♪ちいさな夢を 唇に
♪歌って君は 僕と出逢った…

(以上、渡辺 徹さんになりきってレヴューしました。あくまでも管理人のなりきり(思い込み)ですので、渡辺さんご本人とは何の関係もありません。あしからずご了承ください。)


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レオニー   @梅田ガーデンシネマ [映画(ら)行]

レオニー.jpg
満足度 ★★★

瀬戸内地方に住む者にとって、イサム・ノグチは身近な存在だった。既に世界的な彫刻家であった彼は、晩年、香川県庵治(あじ)町に産する庵治石と出逢い、隣接する牟礼町に居を構えて制作活動にいそしんでいたからだ。

彼の作品には日常的に触れることもできる。提灯からインスピレーションを得たと言われている「Akari」シリーズは、誰でも買うことのできる芸術作品だ。我が家にもひとつ、長女の出産祝いに私がリクエストしていただいたのが置いてある。
AKARI.jpg
まさに和と洋との見事な融合。毎日触れられる芸術作品だ。

この映画は、そのイサム・ノグチを産み育てた母であるレオニー・ギルモアの、波乱万丈という言葉さえ陳腐に聞こえるほど壮絶な半生を描いている。

19世紀末のニューヨーク、大学で教鞭をとりながらも編集者になりたいという気持ちを捨てきれないでいたレオニー・ギルモアは、日本から来た詩人、野口米次郎と出会う。彼女のサポートにより彼の詩は米英の文壇に発表され、賞賛をもって受け入れられる。

レオニーと米次郎との間に恋愛感情が生まれるのに、さほど時間はかからなかった。彼女は彼の子を身ごもるが、米次郎は日本に帰ってしまう。未婚の母となるのを覚悟で、彼女は男の子を産む。それがイサム・ノグチだった。

おりしも日露戦争から世界大戦へと世界は激動する時代。日米のハーフとして生まれ、時代に翻弄されながらも懸命に生きてゆく母子の苦難の道のりを、映画は丁寧に描いている。2時間余りでもまだ描ききれなかったところがあり、後半が少し駆け足になってしまったが、それは仕方のないことだ。

これまでほとんど語られることのなかったイサム・ノグチの母親にスポットライトを当ててくれたことが、この作品の最大の功績だろう。アメリカの大学で、津田塾創始者である津田梅子に出遭っていたり、幼いイサムを連れて来日してから、小泉八雲の未亡人セツと交流があったりしたことは、新鮮な驚きだった。

女性が職業を持つことさえまだ一般的でなかった時代、ましてやシングルマザーなどもってのほかとされていた時代に、自立して子どもを産み育て、子どもの才能を見い出して見事に開花させた偉人として、後世に語り継いでゆかなくてはならない人物のひとりだろう。

劇中の彼女の言葉が、いつまでも心に残る。

「平凡な人間(人生)なんて、つまらないわ。」
「芸術に国境はないの。芸術は武器であり声でもある。」
「幸せだったかどうかなんて、死ぬ時にわかるものよ。」

イサムが晩年を過ごしたアトリエは、現在も記念館として保存されているらしいが、いつでも行ける距離にありながら、まだ訪れたことがなかった。これを機会に是非とも行ってみなくてはならないと思った。


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ルイーサ   @梅田ガーデンシネマ [映画(ら)行]

ルイーサ.jpg
満足度 ★★★★

「瞳の奥の秘密」でアルゼンチン映画が大好きになったので、この作品も観ないわけにはいかなかった。例によって岡山での上映予定はなく、朝6時起きして各駅停車の電車で大阪へ。ついでに「レオニー」も観ることにする。今回は逆境に立ち向かう女性シリーズだ。

ブエノスアイレスに住む孤独な女性ルイーサ。家族は猫のティノだけ。まだ夜も明けない朝早くにバスで家を出て、まず霊園に向かう。墓碑には夫と娘の名前があり、二人とも1976年に亡くなっているのがわかる。

1976年といえば、軍事クーデターのあった年。軍が政権を握り、反対勢力に対して血の粛清をおこない、何万もの行方不明者を出した。その時にルイーサは家族を失ったのだろう。彼女の、他人を信じようとしない態度、感情を出そうとしない表情は、そうした過去があるなら納得できる。

彼女は、夫と娘が眠る霊園で電話番の仕事をしている。そして午後からはもうひとつ、往年の名女優の身の回りの世話もしている。その二つの仕事で生計を立てているのだ。毎日が判で押したような生活、棚の置物の位置がちょっとズレていても直さずにはいられない性格。

そんな彼女に、ある日突然、大変な不幸が訪れる。朝起きてみると猫のティノが死んでおり、勤めていた霊園からは近代化のために不要になったと言われ、世話をしてきた女優は引退して田舎に引っ越すという。
つまり、その日彼女は家族と仕事を同時に失ってしまうのだ。

定年まで1年を残して30年勤続したにもかかわらず退職金はなく、もともと貯金もなく、残ったのは20ペソ50センターボだけ。それでは愛猫を火葬してやることもできず、途方にくれるルイーサ。ところが、乗っていたバスが故障して、生まれて初めて地下鉄に乗った時、手っ取り早くお金を稼ぐ方法を思いつく。

話自体は他愛もない話だが、登場人物のキャラクターが際立っていて、演ずる役者たちも芸達者ぞろいなので、そこはかとなくほのぼのと面白おかしい。どことなく「アメリ」や「ミックマック」に近い世界観もあって、アルゼンチン映画の実力をまざまざと見せつけてくれる佳作だと思う。

人生に乾杯.jpgどん底に突き落とされて、なりふりかまわず金を稼がなくてはならなくなるという状況を観ながら、ハンガリー映画の「人生に乾杯!」を思い出した。もっとも、こっちは年金を止められた80過ぎの老夫婦が生活に窮して銀行強盗をやってしまうというとんでもない話だが。
(TSUTAYAでレンタル可能)



ブエノス・アイーレス(Buenos Aires)とは、「おいしい空気」という意味。空気が澄んでいて活気に満ちた街の雰囲気を映画は良く伝えている。市バスがメルセデスだったのに感心した。また、公衆電話がテレフォニカで、スペインとまったく同じだったのには驚いた。

地下鉄は " Subte " と呼ばれており、スペインの " Metro " とは違う呼び方だった。噂によると、東京丸の内線や名古屋市営地下鉄の払い下げ車両がそのまま使われているらしいが、それらしき車両は確認できなかった。いつか確かめに行ってみたいものだ。

もっともっとアルゼンチン映画を観てみたいぞ~!


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ルド and クルシ   @シネマ・クレール [映画(ら)行]

RC

 

















満足度 ★★★★

メキシコを代表する三人の監督(アルフォンソ・キュアロン、ギジェルモ・デル・トロ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)は、かねてより行動を共にすることが多く、ハリウッドは彼らを "Three Amigos" と呼んでいるらしい。
おいおい、Three Amigos といえば、こっちだろ!

TA











しかも、正しくは " Los Tres Amigos " だと思うが。

まあ、そういうツッコミはさておき、このThree Amigosが映画製作会社を立ち上げた。"Cha Cha Cha Films" という人を食ったような名前は、いかにも彼ららしい。その栄えある第一作目がこの作品ということだ。

演じたのは、やはりメキシコを代表する二人の俳優。アルフォンソ・キュアロン監督の「天国の口、終りの楽園」で親友同士を演じたガエル・ガルシア・ベルナールとディエゴ・ルナが、今度は兄弟の役で登場する。監督はアルフォンソの弟カルロス。

というわけで、自分たちの撮りたかったモチーフを、皆でワイワイ言いながら好きなように撮ったのだろう。難しいことは考えず、まあ気楽に楽しんでください、という雰囲気がビシビシ伝わってくる。

舞台はメキシコの片田舎。バナナ農園で働くベトとタトは草サッカーが大好き。兄のベトはゴールキーパーで、家族があるのにギャンブルが止められない困り者。弟のタトはフォワードだが、本当は歌手になることを夢見ている軟弱者。

ある日、プロのスカウトであるバトゥータの車がパンクしたところに通りがかったことから、彼らの人生は大きく変わってゆく。バトゥータに見込まれた弟のタトがまずプロサッカーチームに入団。タトは破竹の勢いでスター選手となり、クルシ(ダサい自惚れ屋)というニックネームで人気者になる。

調子に乗ったタトは、念願であった歌手デビューも果たす。
チープ・トリックの" I Want You To Want Me " をスペイン語でカバーしているのだが、はっきり言ってかなりビミョーな仕上がり。サビに入るまでオリジナルが何だかわからなかった。

その後、やはりバトゥータの口添えで兄のベトもプロとなり、ルド(タフな乱暴者)というニックネームで大活躍。兄弟は一躍セレブの仲間入りをするが、順風満帆と思えた彼らの人生にも、徐々にほころびが生じてくる。富と名声を手にした者の周りには、ハイエナのごとく怪しいヤツらが集まってくるのが常だ。彼らに何もかもむしり取られ、二人にはホロ苦い結末が訪れる。

母親のため浜辺に麻薬王のような豪邸を建てるという兄弟の夢は果たせなかったが、妹が本物の麻薬王に気に入られて結婚したことにより、彼が豪邸を建ててくれたので、まあいいか、いい夢を見させてもらったし、という感じで二人はまったくメゲない。陽気なラテンのノリでグイグイ押しまくる楽しい作品だった。

いつもはイケメンなディエゴが、今回は田舎のアンチャンに徹していたのが可笑しい。喋る言葉も訛っていて、ほとんど聴き取れない。「天国の・・・」では普通のスペイン語を喋っていたから、今回は役作りしていたのだろう。普段のディエゴって、浅野忠信にクリソツ。


DiegoAsano 

 

 

 



一方のガエルは、いつもながら自然体の演技。というか、天然っぽい。前々から感じていたが、この人を見てると三田 明の若い頃を思い出すんだよなあ・・・

GaelMita

 

 

 

 

 

 


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