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ロスト・アイズ   @シネ・リーブル梅田 [映画(ら)行]

ロスト・アイズ.jpg
満足度 ★★★★

スペイン語で眼のことを " los ojos " という(二つあるので複数形)。
スペイン語圏には、その " los ojos " をタイトルに付けた名作が多い。

たとえば、" Abre Los Ojos "、「オープン・ユア・アイズ」という英語のタイトルで良く知られていて、のちにトム・クルーズ主演の「ヴァニラ・スカイ」としてリメイクされた。主演のエドゥアルド・ノリエガは、トム・クルーズに勝るとも劣らない美貌の持ち主。ぺネロぺ・クルスは双方ともに同じ役で出演している。

それから、" El Secreto de Sus Ojos "、「瞳の奥の秘密」という邦題で公開され、アルゼンチン映画の実力を見せつけた名作。出演している役者が実力のある人ばかりで、撮影や音楽のレベルも非常に高く、2010年を代表する作品だった。

オープン・ユア・アイズ.jpg瞳の奥の秘密.jpg

そして、本作の原題は " Los Ojos de Julia " という。まさに名作にふさわしいタイトルじゃないか。直訳すると、「フリアの眼」という意味。それでは単純すぎると考えたのか、配給会社(プレシディオ)は「ロスト・アイズ」などという訳のわからん邦題を付けてしまった。

眼を失う話ではなくて、視力を失うだけなんだから、「ロスト・アイズ」じゃおかしいだろう。良い邦題を思いつかないなら、「ロス・オホス・デ・フリア」のままでいいじゃないか。

それに、「大ヒットホラー『REC』を超え、スペインNo.1ヒット」という安っぽいチラシのコピー… やれやれ… この程度のコピーしか思いつかないのが、日本の配給会社の現状なのだ。センスの無い配給会社が余計なことをして、作品の価値をおとしめるのを見るたびに、本当にやりきれない気持ちになる。

まあそれはさておき、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロが製作に関わっているとあれば、観ないわけにはいかないだろう。あの独特の世界観をどこまで発揮できているか、期待に胸を膨らませて観に行った。

サラとフリアは双子の姉妹。二人とも進行性の角膜疾患にかかっていて、先に視力を失ってしまった姉のサラは角膜移植を受けたが、自宅で首を吊って死んでいるのを発見される。姉の死を不審に思った妹のフリアは、一人で調査をはじめ、「見えない男」の存在を突き止めるが、徐々に視力が低下してゆき… といったストーリー。

配給会社は、ホラーと決めつけて売り込もうとしているが、さほど怖くはなく、むしろ大人のサスペンスといったおもむき。視力喪失系サスペンスの名作「暗くなるまで待って」や「見えない恐怖」とは少し違ったテイストで、個性的な作品だった。

サラが首を吊る際に「見えない男」が嫌がらせの意味で流す曲が " The Look Of Love " だったり、生前に男と訪れた村の名前が " Bella Vista(美しい眺め) " だったりと、さりげなく隠されたギミックを見つけるのも楽しい。



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でかのすけ

いずれかは、盲目になってしまう不安感が、今の私の焦りにも繋がり現状空回りの中でもがいています。急いだって、焦ったところで、成るようにしか成らないでしょ?現実受け入れるんは、難しい今のところです。
by でかのすけ (2011-07-09 06:18) 

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