ルド and クルシ @シネマ・クレール [映画(ら)行]
満足度 ★★★★
メキシコを代表する三人の監督(アルフォンソ・キュアロン、ギジェルモ・デル・トロ、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)は、かねてより行動を共にすることが多く、ハリウッドは彼らを "Three Amigos" と呼んでいるらしい。
おいおい、Three Amigos といえば、こっちだろ!
しかも、正しくは " Los Tres Amigos " だと思うが。
まあ、そういうツッコミはさておき、このThree Amigosが映画製作会社を立ち上げた。"Cha Cha Cha Films" という人を食ったような名前は、いかにも彼ららしい。その栄えある第一作目がこの作品ということだ。
演じたのは、やはりメキシコを代表する二人の俳優。アルフォンソ・キュアロン監督の「天国の口、終りの楽園」で親友同士を演じたガエル・ガルシア・ベルナールとディエゴ・ルナが、今度は兄弟の役で登場する。監督はアルフォンソの弟カルロス。
というわけで、自分たちの撮りたかったモチーフを、皆でワイワイ言いながら好きなように撮ったのだろう。難しいことは考えず、まあ気楽に楽しんでください、という雰囲気がビシビシ伝わってくる。
舞台はメキシコの片田舎。バナナ農園で働くベトとタトは草サッカーが大好き。兄のベトはゴールキーパーで、家族があるのにギャンブルが止められない困り者。弟のタトはフォワードだが、本当は歌手になることを夢見ている軟弱者。
ある日、プロのスカウトであるバトゥータの車がパンクしたところに通りがかったことから、彼らの人生は大きく変わってゆく。バトゥータに見込まれた弟のタトがまずプロサッカーチームに入団。タトは破竹の勢いでスター選手となり、クルシ(ダサい自惚れ屋)というニックネームで人気者になる。
調子に乗ったタトは、念願であった歌手デビューも果たす。
チープ・トリックの" I Want You To Want Me " をスペイン語でカバーしているのだが、はっきり言ってかなりビミョーな仕上がり。サビに入るまでオリジナルが何だかわからなかった。
その後、やはりバトゥータの口添えで兄のベトもプロとなり、ルド(タフな乱暴者)というニックネームで大活躍。兄弟は一躍セレブの仲間入りをするが、順風満帆と思えた彼らの人生にも、徐々にほころびが生じてくる。富と名声を手にした者の周りには、ハイエナのごとく怪しいヤツらが集まってくるのが常だ。彼らに何もかもむしり取られ、二人にはホロ苦い結末が訪れる。
母親のため浜辺に麻薬王のような豪邸を建てるという兄弟の夢は果たせなかったが、妹が本物の麻薬王に気に入られて結婚したことにより、彼が豪邸を建ててくれたので、まあいいか、いい夢を見させてもらったし、という感じで二人はまったくメゲない。陽気なラテンのノリでグイグイ押しまくる楽しい作品だった。
いつもはイケメンなディエゴが、今回は田舎のアンチャンに徹していたのが可笑しい。喋る言葉も訛っていて、ほとんど聴き取れない。「天国の・・・」では普通のスペイン語を喋っていたから、今回は役作りしていたのだろう。普段のディエゴって、浅野忠信にクリソツ。
一方のガエルは、いつもながら自然体の演技。というか、天然っぽい。前々から感じていたが、この人を見てると三田 明の若い頃を思い出すんだよなあ・・・
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