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セイフ ヘイヴン [映画(さ)行]

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満足度 ★★★☆

ワケありのヒロインが逃避行の途中ふと立ち寄った街で恋におち、新しい人生を見つけてゆくお話です。内外のレヴューで酷評されているようですが、私はそれほど悪くはなかったと思います。

なぜなら、ラブストーリーに必要な三要素をちゃんと満たしているからです。その三要素とは、①ヒロインが美しくて相手役もイケメンなこと、②背景となる映像がきれいなこと、③音楽が素敵なこと、です。この作品はその点で何ら不足を感じません。

おそらく、サスペンス的な要素を織り込み過ぎ、最後にファンタジックな仕掛けを用意したことが、ストーリー重視の映画ファンには、あざといと受け取られてしまったのかもしれません。映画というものは、脚本、演技、映像、音楽の総合芸術なので、そのどれを重視するかで評価が分かれて当然です。

私は、音楽を重視するタイプなので、この作品を充分楽しめました。
なにせ、オープニングがトリスタン・プリティマンの "Say Anything"、クロージングがコルビー・キャレイの "We Both Know" でしたから。

Tristan Prettyman "Say Anything"

COLBIE CAILLAT ft GAVIN DECRAW ”We Both Know”


ひとつ不満があるとすれば、せっかく唄って踊れるジュリアン・ハフをヒロインに起用したのに、最後まで唄もダンスも披露させなかったことでしょうか。いっそセリフまわしもミュージカル仕立てにすればよかったのに、なんて考えましたが、それじゃまるで「マンマ・ミーア!」になっちまいますかね?



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ザ・ドア 交差する世界 [映画(さ)行]

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満足度 ★★★★

5年前の自分に戻れたら・・・

まあ、あり得ない話ではありますが、もしもそんなことができたなら、過去の失敗をやり直せるかもしれないっていうお話です。

デンマークの至宝、見方によったら三田村邦彦に見えなくもない、マッツ・ミケルセンが、なんと流暢なドイツ語を喋っています。と思ったら、彼のパートだけは吹き替えだったことがわかりました。・・・ですよね。吹き替えしてでもドイツ映画に出演してほしかったんでしょうな。

主人公のダヴィットは、画家として成功し、プール付きの邸宅に住んでいます。美しい奥さんと可愛い娘が居ながら、彼は近所に住むケバい女性と浮気をしていました。そしてその女性と逢引きしている最中に、娘が自宅のプールに落ちて死んでしまいます。

娘の死をきっかけに妻との生活も破綻し、人生に絶望して自暴自棄な生活を送っているダヴィットは、夜道で季節外れの蝶を見つけます。その蝶に導かれるように彼はある廃屋に入ってゆき、そこでドアを見つけます。ドアを開けるとそこは5年前、まさに娘を亡くしたあの日あの時でした。

迷うことなく彼はプールに突進し、娘を助けることに成功します。やれやれこれで人生をやり直せるわいと安心したのも束の間、背後から何者かに襲われます。彼を襲ってきたのは・・・

よくあるタイムパラドックスものとは少し趣を異にしていて、5年遅れたまったく同じ世界がパラレルに存在しているという設定です。しかも「こっち」に来たのが彼一人だけじゃないということもわかって、話は予想もしない方向に展開してゆきます。少しせつなくて、なかなか面白い作品でした。



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7 BOX [映画(さ)行]

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満足度 ★★★★★

これは面白い! パラグアイからの極上エンターテインメント。

スラム街のメルカード(市場)で荷物運びの仕事をしている17歳の少年ビクトルは、動画撮影機能の付いている携帯電話欲しさに、かなりヤバそうな仕事を引き受けます。7つの木箱を指定された場所まで運ぶだけで100ドルくれるというのです。命がけで守れ、箱の中身は絶対に見るな、と。

まさにパラグアイのスラム版トランスポーターじゃないですか。ただし、荷物を乗せているのは最新のアウディではなく、みすぼらしい手押し車ですけれど。

荷物を預けた肉屋はマフィアの手先で、これまでにもいろいろと非合法なことをしており、警察に目をつけられています。この日は警察の手入れがあり、見つかっては困るものをビクトルに持たせて、その辺をウロウロさせておくのが目的だったようです。

ところが、手違いにより箱の中にはとんでもないものが入っていました。それに気づき慌ててビクトルを連れ戻そうとするマフィア、高額な報酬欲しさに仕事を横取りしようとする商売敵のネルソン、箱の中身を怪しんで追いかけてくる警察、迷路のような市場の中でスリリングかつコミカルな追走劇が繰り広げられます。

登場人物のキャラクターが際立っていて、それだけでも笑えます。そして、あちこちに張られていた伏線を一気に回収してくれるハッピーなエンディング。観終わってから思わず微笑みがこぼれるような、南米らしい陽気なサスペンス映画でした。

ところで、明らかに文法的におかしいタイトルを付けても平気な日本の配給会社、恥ずかしくないんでしょうか。箱が7つなら7 BOXESです。日本語的に語呂が悪かろうがなんだろうが、それは変えようがありません。こんな変な英語をゴリ押しして通すようでは、わが国の映画産業の国際化は、まだまだってことでしょうね。

ちなみに、外国ではちゃんとしてますよ。ちょっとネタバレですけど。
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サラの鍵 [映画(さ)行]

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満足度 ★★★★★

ああ… せつない。今思い出しても涙が出そうになる。

ジャーナリストのジュリアは、夫が祖父母から譲り受けたパリのアパートで暮らすことになるが、ある記事の取材中、かつてそこにはユダヤ人一家が暮らしており、1942年の一斉検挙で強制退去させられていたことを知る。

検挙の朝、一家の長女サラは、弟を納戸に隠して鍵をかけた。すぐに帰れると信じて。ところが、彼らが連れて行かれたのはヴェル・ディヴ(冬季屋内競輪場)で、13000人もの人々と共に、飲料水すら充分に与えられぬまま、そこで5日間も過ごさなくてはならなかった。

その後、強制収容所に送られたサラは、看守の隙をついて脱走した。納戸に閉じ込めてしまった弟を助けたい一心で。彼女は無事にパリへ戻れたのか?弟はどうなったのか?ジュリアはサラの足跡を追い、ニューヨークへ、そしてフィレンツェへと足をのばす。

物語は、現在と過去とを往き来しながら、戦争に運命を翻弄された一人の女性の壮絶な人生を描いてゆく。ついに現在と過去とがつながった時、ジュリアの人生も大きな転換期を迎えていた。

実に観ごたえのある重厚なヒューマンドラマだった。サラが成人してからの行動を見れば、彼女がどれほど心に深い傷を負っていたかがわかる。生まれた時代が少しでも遅ければ、彼女の人生はまったく違っていただろうに。そう思うと、せつなさで心が一杯になった。

この作品が公開されたのは昨年12月。その数ヶ月前、同様にヴェル・ディヴ事件を描いた「黄色い星の子供たち」という作品が公開されている。奇しくも同じ年に2作品で相次いで描かれることになったこの事件は、ナチス占領下にあったとはいえ、フランス政府がホロコーストに手を貸してしまったという点で、フランスの歴史における汚点とされている。もっとも、政府はつい最近まで自分たちも被害者という立場を貫いていたようだが。

ヴェル・ディヴは、その後火災により焼失し、跡地には内務省のビルが建っているようだ。そのビルの前に立って、「ずいぶん皮肉な話ね。」と吐き捨てるように言ったジュリアの言葉がとても印象的だった。


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灼熱の魂   @シネマ・クレール [映画(さ)行]

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満足度 ★★★★★

これは、すさまじい話だ。古代ギリシャの悲劇を彷彿とさせる。

序盤に張られた伏線が、中盤から少しずつほぐれ始め、終盤で一気に昇華する。そして最後に突きつけられる残酷な現実。観終わった後も、しばらく頭の中をいろんな思いがグルグル駆け巡り、打ちのめされたように動けなかった。

直後に感想を訊かれたら、こう言うしかなかっただろう。

「なんも言えねえ!」

しかし、決して「チョー気持ちいい」わけではなくて、むしろ数日はトラウマが残りそうなズッシリ系の作品。自分はこういうの大好物だけど、苦手な人には決しておすすめできない。

物語は、中東の出身らしい母親が亡くなり、双子の姉弟に母からの遺言状が渡されるところから始まる。公証人との会話がフランス語なので、フランスが舞台なのかと思ってしまうが、カナダのケベックだということが、ずいぶん後からわかる。不親切なんだよなあ、このあたりが。

母親は、異教徒との間に子を宿したため、一族の恥として相手の男は家族の手により射殺、彼女も出産した子を里子に出されたあげく、村を追い出されてしまう。

いやはやイスラムの社会はすげ~な、と思って観ていたら、彼女の首には十字架が。へ?キリスト教徒やったん?なら、殺された男の方がイスラム?とここで、頭の中がパニックに陥る。

どうやら、母の生まれたのはレバノンで、レバノンは中東では数少ないキリスト教徒が中心の国らしい。そんなこと、中東マニアでもない限り知ってるわけないし、もう少し説明してくれても良かろうもん(博多っ子かい)。
ほんなこつ不親切っちゃねー、この監督は。

母は遺言で、子供たちにとんでもない使命を課していた。つまり、内戦で亡くなったはずの父が実はまだ生きていて、さらに彼らには先に生まれた兄もいて、二人を捜し出して遺言状を渡せと。それまで自分の墓に墓碑銘を入れるなと。

そんなん無理に決まっとう(神戸っ子かい)という弟を尻目に、姉は母の故郷へと旅立つ。彼女の生きたあかしを求めて。そこで知りえた母の人生は、想像を絶するものだった。

本作は、姉弟の生きる現在と母の生きた過去とを交互に上手く描きながら、極上のミステリーに仕上がっている。謎解きで少しずつ明らかになる壮大な人間ドラマ、ズッシリと重たいエンディングは、生涯忘れることができないだろう。



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ジェーン・エア   @シネマ・クレール [映画(さ)行]

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満足度 ★★★★

思いがけない秀作だった。何年ぶりだろう、エンディングで目頭が熱くなったのは。恋愛ものとTV局がらみの邦画は観ないことに決めているが、「闇の列車、光の旅」のキャリー・ジョー・フクナガ監督の作品と聞けば観ないわけにはいかなかった。

原作はシャーロット・ブロンテが1800年代に書いた古典だから、名前くらいは知っていたが、読んだことはなかった。しかし、こんなラディカルな話だとは知らなかったなあ。すごいぜシャーロット!(← 今さら見直しても遅いですか)

幼くして両親を失い、意地の悪い叔母の家に引き取られたジェーン。しいたげられ、さげすまれながら、芯の強い女性に育ってゆく。寄宿学校で教育を受けた彼女は、由緒正しい旧家の家庭教師となる。

まず、主人公のジェーンが容姿に恵まれていないという設定からして、ヒロインは美しくあるべきという当時の常識に対し、真っ向勝負に出ているのだ。演ずるミア・ワシコウスカは、たしかに美人とは言えない。
しかも貧乳だし。(← それはどうでもいいですか)

ところで、ワシコウスカって名前を聞くたびに、この人の顔が浮かんできて仕方がないんだけど、そりゃ私だけか?

京山幸枝若.jpg

浪曲の幸枝若(こうしわか)かい!

わしこうすか ←→ こうしわか

かなり無理がありますか、そうですか。

ま、冗談はさておき、あまりに真っすぐなジェーンに、屋敷の主人であるロチェスターは惚れてしまうのだ。時は19世紀半ば、女性の自立など程遠く、ましてや女性が作家になるなどあり得ず、出版に際してシャーロットは男性名のペンネームを使っていたほどの保守的な時代。身分を超えた愛のストーリーがどれほどセンセーショナルであったか、想像に難くない。

しかも、結婚式当日にロチェスターのとんでもない秘密が暴かれるという、「デスパレートな妻たち」も真っ青の展開。いたたまれなくなって家をとび出したジェーンだったが、途中で行き倒れそうになり、牧師の家族に救われる。

さらにそこからも彼女の人生は二転三転するのだが、自分の気持ちに嘘をつくことなく高潔に生きる彼女の姿に、胸が熱くなるのを抑えられなかった。いや~、たまには恋愛ものも観てみるもんですな。


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スノーホワイト   @TOHOシネマズ岡南 [映画(さ)行]

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満足度 ★☆

シャーリーズ・セロンの圧倒的な美しさ以外に見どころなし。

まず、白雪姫役がどうしてクリステン・スチュワートなのかがわからない。よりにもよって、あんなに顎のしゃくれた白雪姫があるか?
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この角度からだと、有田哲平に見えて仕方ないんだが。

その若さと美貌を王妃に妬まれるほどの存在でなきゃならないのに、どうひいき目に見ても王妃の方が美しい。だから、今回は史上最もリアリティの無い白雪姫だと言える。演技力も乏しいし、クリステンにゃハイスクールものくらいがお似合いなんだよ。

それから、監督の力量にも問題がある。CM畑出身で長編映画は初めてらしいが、失敗を恐れたせいか、どこかで観たようなシーンでいっぱいだった。「ロード・オブ・ザ・リング」、「ロビンフッド(リドリー・スコット版)」、「ジャンヌ・ダルク(リュック・ベッソン版)」、「ブラック・スワン」、さらには「もののけ姫」など。少しはオリジナリティを持てよ、と言いたい。

この映画のキャッチコピーは、「おとぎ話は終わった。今、新たなる白雪姫伝説が始まる」だが、単なるおとぎ話にしたくなかったんなら、「本当は恐ろしいグリム童話」をそのまま映画化した方が面白かったと思うけど。

GRIMM.jpg

白雪姫の物語のもとになった話はこんな感じだ。

ある国にとんでもなくロリコンの王様がいた。彼は15歳になったばかりの美しい娘を妃にした。やがて王妃は身ごもり、雪のような白い肌の娘が生まれ、白雪姫と名付けた。

しかし、若くて美しかった王妃もやがて歳をとり、そのうち王は彼女に見向きもしなくなった。鏡を見ては衰えゆく自らの美貌に溜息をつく日々を王妃は過ごしていた。

そしてある夜、王妃は驚くべきことを知るのだ。夜な夜な王が実の娘である白雪姫の寝室に通っていることを。王の寵愛を受けることで、白雪姫はだんだん倣漫になってゆく。王は彼女の言いなりとなり、国の統治も乱れてゆく。

このままでは自分の地位もいずれ危うくなると感じた王妃は、白雪姫を森に連れて行って殺しその肝臓を持ち帰るよう狩人に命じる。しかし狩人は彼女を不憫に思い、森に居たイノシシを殺して肝臓を取り、白雪姫を森に残したまま帰ってくる。

狩人の持ち帰った肝臓を白雪姫のものだと言われた王妃は、それを調理させて食べてしまうのだ。これで自分の地位も安泰、若い娘の肝臓を食べると若返ると言われているし、と思いながら。ところがどっこい、白雪姫はまだ生きていた。…という話。

こっちの方がよほど「新たなる白雪姫伝説」にふさわしい。
もっとも、R18指定をくらいそうだが。

こんなにショボい作品なのに興行成績は優秀らしく、それに気を良くした製作会社は三部作にするつもりらしい。シャーリーズなしのキャストでは映画の体をなさないだろう。もしかして、死んだ王妃をまた復活させるつもりか?

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少年と自転車   @シネマクレール [映画(さ)行]

少年と自転車.jpg
満足度 ★★

期待が大きかっただけに、観終わった後の落胆も大きかった。
伝えたいことはよくわかる。でも、ぜんぜん伝わって来ない。

育児放棄した父親によって児童養護施設に預けられている11歳の少年シリルは、人を信じることができず、善悪の判断もつかない子どもになっていた。逢いにも来ないばかりか、黙って転居までしてしまった父親を捜すうち、サマンサという女性と知り合い、週末だけの里親になってもらう。

サマンサの与える無償の愛により、シリルは少しずつ人を信じられるようになり、自分の冒した過ちに対して詫びることを学び、ある事件により痛みを知るようになる。

この「ある事件」が物語のターニングポイントになるわけだが、いくらなんでもそりゃないだろうっていう、取って付けたような展開で、興ざめしてその後のストーリーに入り込めなかった。

ミヒャエル・ハネケばりの唐突な終わり方もちょっとなあ。おそらく意図的にしてるんだろうけど、途中の無駄な長廻しも多すぎて気になったし、この監督は自分には合わないな。

タイトルを見た時、ビットリオ・デ・シーカの「自転車泥棒」を連想したが、あれには遠く及ばない凡作だった。
自転車泥棒.jpg

原題は " Le Gamin au Velo " だから、本来なら「自転車に乗った少年」にすべきだろう。それをあえて「少年と自転車」にしたのは、「イルカに乗った少年」を意識してのことだったのか?

いや、こっちじゃなくて・・・
イルカ.jpg

こっちの方。原題が「イルカに乗った少年」なので。
島の女.jpg

ちなみに、サマンサ役のセシル・ドゥ・フランスは、フレンチスプラッターの大傑作「ハイテンション」でヒロインを演じている。かなりきわどい演技もあって、とても同じ人とは思えないが、どんな役もこなせる魅力的な女優だと思う。
High Tension.jpg
いよっ!男前!

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人生、ここにあり!   @梅田ガーデンシネマ [映画(さ)行]

人生、ここにあり!.jpg
満足度 ★★★★

原題は"Si Puo Fare"(やればできる)。これに"No"を付けて "No Si Puo Fare" と言うと、「絶対無理!」という意味になるようだ。
しかしまあ、今どきこれほど昭和レトロな邦題も珍しい。

1983年のミラノ。その数年前に施行されたバザリア法により、イタリアでは精神病院が廃止され、精神病者たちは家庭に戻り、昼間は協同組合で作業をしながら暮らしていた。

バザリア法ってのが、「ラザニア法」に聞こえて仕方がない。(←どんだけ食いしん坊やねん!)

それはさておき、元患者たちが集う「協同組合180」に、正義感がカラ回りして労働組合をクビになったネッロという熱血漢が派遣されてくる。

与えられた仕事をこなしてはいるが、安定剤を多量にのまされ、人間性を喪失している元患者たちを見て、熱い血がまた騒ぎ出した彼は、安定剤の量を減らすよう主治医に掛け合い、もっと金になる仕事を取ってくるようにする。

「俺たちはイカれているが、馬鹿じゃない。」と言う元患者たちは、それぞれが得意な分野を持っていた。そのことに気付いたネッロは、適材適所に彼らを配置し、事業を拡大させてゆく。

人間性を回復し、働いて報酬をもらう喜びも知った、さあ次は何がしたい?と尋ねるネッロに、「女を抱きたい!」と言う元患者たち。さすがイタリア、欲求が実にストレートですな。そのストレートな欲求を、まんま描いてしまうところも凄すぎますけどね。

しかし、好事魔多し、ネッロの思いやりがアダになってしまう事件が起きる。激しく落ち込むネッロ。彼を励ます医師の言葉が素晴らしかった。

「罪悪感からは何も生まれんぞ。誰でも過ちはおかすものだ。そこから何かを学んで、次に生かせばいいんだよ。」

この映画は、教育者や子育て中の親たちに観てもらいたいと思う。

たとえば、ネッロの元患者たちに対する接し方。戸惑いながらも、決して彼らを否定したりせず、少しでも長所を見つけて、その才能を伸ばせるよう背中を押してやっている。教育も子育ても、そうでなくっちゃいけないのだ。

精神病者たちが集う姿を見て、「カッコーの巣の上で」を思い出したが、あのような悲惨な結末にはならず、あくまでハッピーエンドだったのも、きわめてイタリア的だった。

カッコーの巣で.jpg

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SUPER 8   @TOHOシネマズ岡南 [映画(さ)行]

SUPER 8.jpg
満足度 ★★

なんか平凡だったなあ。それ以外に言葉が浮かばない。

最初に濃厚なスープが出てきて(冒頭の列車事故のシーン)、こりゃなかなか美味しい料理が食べられるぞ、と期待させたのに、その後はオードブルがちょこちょこ出てくるだけで、結局メインディッシュなし、そんな感じだった。

家庭用ビデオなどまだ普及していない時代、コダックのスーパー8という8ミリカメラで自主製作映画を撮っている映画好きのキッズが主人公。
J.J.エイブラムス監督やスティーヴン・スピルバーグ監督の幼い頃が彼らの姿に投影されているに違いない。

テレビではスリーマイル島の事故を報じているから、1979年のようだ。ガソリンスタンドの店員が発売されたばかりのウォークマンを聴いていて、警官から「なんだ、ラジオなんか聴いているのか?」と言われるのが面白い。

初代ウォークマンは、カセットテープ式だったから、当時の人が見たらトランジスタラジオ(もはや死語ですな)に見えたのだろう。
WALKMAN.jpgRADIO.jpg
ウォークマン1号機と、SONYが東京通信工業だった頃の名機TR-55

そのシーンで店員が聴いていたのが、ブロンディの「Heart Of Glass」。懐かしさのあまり、当時の言葉なら「胸キュン」になった。


若い頃あれほど魅力的だったデボラ・ハリーも、「死ぬまでにしたい10のこと」では生活に疲れた母親を演じていて、あまりの変わりように愕然としたよなあ、と思わず遠い目に。

ブロンディの他にも、ザ・ナック「My Sharona」、エレクトリック・ライト・オーケストラ「Don't Bring Me Down」、コモドアーズ「Easy」、ウィングス「Silly Love Songs」と、使われている音楽はすべて当時のものばかり。

ストーリーの方も、「未知との遭遇」、「グーニーズ」、「スタンド・バイ・ミー」、「E.T.」などを少しずつ思い起こさせるように作られていて、70年代後半から80年代をリアルに知っている者を懐かしい気分にさせてくれる。

ところが、そんな正方向へのバイアスがかかっているにもかかわらず、観終わった後の感想は、平凡でつまらない、としか言いようがないのだ。何のバイアスもなく観た40歳未満の人たちはどう感じたのだろう?

つまらなかった原因の一つは、「クローバー・フィールド」で見たような醜悪な地球外生物。あれじゃとても子どもたちと意思疎通なんてできそうにないし、彼らとの絡みをちゃんと描かないまま、「MIB」みたいなエンディングに突入してしまったから、物語に入ってゆけなくなった。

J.J.エイブラムスという人は、「心の旅(Regarding Henry)」のような秀逸な脚本を書いたかと思うと、「アルマゲドン」のような世紀の駄作も書いていて、作品の出来に相当なバラツキのある人だ。今回はどう考えても「アルマゲドン」寄りの脚本だった。

しかし、何といっても、スピルバーグ監督との「楽屋オチ」が見えてしまったことが、シラけた最大の原因ではないかと思う。あそこまでヨイショするなら、列車に突っ込む運転手の役を、リチャード・ドレイファスにすればよかったんだ。

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