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人生、ここにあり!   @梅田ガーデンシネマ [映画(さ)行]

人生、ここにあり!.jpg
満足度 ★★★★

原題は"Si Puo Fare"(やればできる)。これに"No"を付けて "No Si Puo Fare" と言うと、「絶対無理!」という意味になるようだ。
しかしまあ、今どきこれほど昭和レトロな邦題も珍しい。

1983年のミラノ。その数年前に施行されたバザリア法により、イタリアでは精神病院が廃止され、精神病者たちは家庭に戻り、昼間は協同組合で作業をしながら暮らしていた。

バザリア法ってのが、「ラザニア法」に聞こえて仕方がない。(←どんだけ食いしん坊やねん!)

それはさておき、元患者たちが集う「協同組合180」に、正義感がカラ回りして労働組合をクビになったネッロという熱血漢が派遣されてくる。

与えられた仕事をこなしてはいるが、安定剤を多量にのまされ、人間性を喪失している元患者たちを見て、熱い血がまた騒ぎ出した彼は、安定剤の量を減らすよう主治医に掛け合い、もっと金になる仕事を取ってくるようにする。

「俺たちはイカれているが、馬鹿じゃない。」と言う元患者たちは、それぞれが得意な分野を持っていた。そのことに気付いたネッロは、適材適所に彼らを配置し、事業を拡大させてゆく。

人間性を回復し、働いて報酬をもらう喜びも知った、さあ次は何がしたい?と尋ねるネッロに、「女を抱きたい!」と言う元患者たち。さすがイタリア、欲求が実にストレートですな。そのストレートな欲求を、まんま描いてしまうところも凄すぎますけどね。

しかし、好事魔多し、ネッロの思いやりがアダになってしまう事件が起きる。激しく落ち込むネッロ。彼を励ます医師の言葉が素晴らしかった。

「罪悪感からは何も生まれんぞ。誰でも過ちはおかすものだ。そこから何かを学んで、次に生かせばいいんだよ。」

この映画は、教育者や子育て中の親たちに観てもらいたいと思う。

たとえば、ネッロの元患者たちに対する接し方。戸惑いながらも、決して彼らを否定したりせず、少しでも長所を見つけて、その才能を伸ばせるよう背中を押してやっている。教育も子育ても、そうでなくっちゃいけないのだ。

精神病者たちが集う姿を見て、「カッコーの巣の上で」を思い出したが、あのような悲惨な結末にはならず、あくまでハッピーエンドだったのも、きわめてイタリア的だった。

カッコーの巣で.jpg

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コメント 8

でかのすけ

精神障害者でもある私には、興味深い映画のようですね。但し日本での医療現場ではまだまだ理想に過ぎない医師の発言は、残念ながらあり得てません。家族や親い人から見棄てられた「カッコーの巣の上で」が現状でして、関係者には刺激的過ぎて御法度映画ですが…あらゆる意味で、カルテ持つ私らやそうではない人達。似たり寄ったりの『ビョーキ』ですよね。
by でかのすけ (2011-09-07 20:00) 

Ken

どういう経緯で精神病院が廃止されたのかはわかりませんが、イタリアの偉い所は、病院と家との間の中間施設をたくさん設置したところです。
インフラを整備しないで、いたずらに家に帰しても、お互いが困るだけですから。
この映画から学ぶことはたくさんありました。
by Ken (2011-09-09 10:42) 

でかのすけ

ほう、これまた是非観たいと言うか観ないといかん…やっと此方では「ミスターノーバディ」が公開されたばかりですから…何時かは観ないとですね。
by でかのすけ (2011-09-09 18:50) 

でかのすけ

私は、精神科の看護師でもありました。双方の立場にいながらにして、割りと日本でも有数な病院に通,入院歴有りにしても、ご家族の理解不足でご本人が気遣い………ってケースが殆どですもんね。横繋がりのサテライツは沢山在りはしますけど。やはり家庭の問題でしょうかね?
by でかのすけ (2011-09-12 11:48) 

Ken

ありゃ、そうでしたか。

「オレたちゃ理性の方向が違うだけなんだ」
っていうセリフも胸に響きました。
by Ken (2011-09-14 16:52) 

でかのすけ

あらま、そんなに驚かれなくとも…今の不況の世の中メンタル的な病気持ってる生き物当たり前ですよね。医師のカルテあるかないかの違いだけじゃないでしょうか?
by でかのすけ (2011-09-15 07:25) 

Ken

そう、カルテがあるかないかだけの違いですよ。
by Ken (2011-09-15 12:14) 

でかのすけ

真似

みんなはちょいちょいよその「きょく」や「し」をまねするけど、おれはまねはだいきらいや。ひとがはつめいしたことをそのまままねるのは、いやらしい。みんなのこころのなかには、くろいふくきたまねのかみさま、ひひひとゆうてすんでるんやろ

by でかのすけ (2011-10-31 20:17) 

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