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偽りなき者 [映画(あ)行]

偽りなき者.jpg
満足度 ★★★

後味の悪い映画を作らせたら唯一無二のラース・フォン・トリアーを生んだ国から、また新たな刺客が送り込まれてきました。と思ったら、「光のほうへ」と同じ監督でした。前作も思いっきりダークでへヴィーでしたが、今作はそれをさらに上回る重さでした。

デンマークの山の中にある小さな村。住人は誰もが知り合い同士で、家の鍵をなくしても隣の家に行けば隣人がカギを預かってくれているような、とても親密な関係が成り立っています。

勤めていた小学校が閉校になったため、村の保育園で男性保育士として働いているルーカス。親友テオの娘クララは、普通の子とはちょっと違う感受性を持つ子ですが、そんなルーカスのことが大好きです。

ある日、クララは手作りのプレゼントをルーカスに手渡し、おふざけでキスをします。彼に喜んでもらえると思ったのに、「プレゼントは男の子にあげるんだ、それから唇にキスはダメだ。」と逆にたしなめられてしまいます。

どんなに幼くてもクララは女性、恋心を傷つけられると逆ギレしてしまうんですねえ。園長先生に「ルーカスったら、いやらしいことをするの。」と嘘の告げ口をしてしまいます。ひえ~恐ろしい~!

園長先生のその後の暴走ぶりが凄まじいです。ルーカスが否定しても、「子どもが嘘をつくはずはないわ。」と耳を傾けようとしません。そのうち住民たちも同調しはじめ、小さな村は集団ヒステリー状態に。

観ていてヒヤヒヤします。村の男たちは成人すると誰もが銃を贈られ、狩りをして獲物を皆と分かちあうことが通過儀礼になっているような所ですから、誰かが怒りにまかせてルーカスを撃ってしまえば、真相は永遠に闇の中です。いつそうなるかと気が気ではありませんでした。

ルーカスを演じたデンマークのハリソン・フォード、マッツ・ミケルセンがとても魅力的でした。「それでもボクはやっていない」によく似たシチュエーションですが、弁護士はつかず味方は友人一人だけという極端に援軍の少ない状況で、しかも争う相手は幼い子どもという設定は、本当に辛いものがありました。しばらく幼い女の子を見ると寒気を感じるほど、トラウマを残す作品でした。



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