ある殺人に関するテーゼ [映画(あ)行]
満足度 ★★★★
アルゼンチンの市村正親、リカルド・ダリンの最新主演作です。「瞳の奥の秘密」のリカルドが主演とあれば、観ないわけにはいきません。
元弁護士で、今はブエノスアイレスのロースクールで教鞭をとっているロベルトのゼミに、かつての親友の息子ゴンサロが受講生としてやってきます。なぜかロベルトに対して挑発的な態度をとってくるゴンサロに心を乱されはじめた頃、学校の構内で若い女性のレイプ殺人事件が発生します。
ゴンサロの言動や態度から、彼が犯人で事件は自分に対する挑戦なのではないかと感じたロベルトは、独自に捜査を開始します。
ロベルトは法律家としては卓越していても、人間的には立派とは言えない存在として描かれています。女性関係にだらしなく、離婚も彼の浮気が原因のようです。そのくせ別れた奥さんにまだ未練があって、留守電の奥さんの声もそのままだったり、真夜中に電話してみたり。
ゴンサロの出現に動揺するのにも訳がありそうです。つまり、かつての親友の奥さんと不倫関係があり、もしかしたらゴンサロの実の父親はロベルトなのではないか、という可能性も示唆されます。
物語は、ロベルトから見たらゴンサロが犯人、でも客観的に見たら単なる偶然の一致かもしれない、という二つの可能性を保持したまま進行してゆきます。酒に溺れた生活を続けているロベルトの妄想も入ってくるので、どこまでが現実なのかさえわからなくなってきます。
最終的な判断は観客に委ねられ、実に悩ましいエンディングです。「有罪か無罪かを決めるのはディテイル(細部)であり、それが偶然なのかどうかをじっくり見極める必要がある。」と講義していたロベルトの言葉が重くのしかかります。
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もやもやしそうですな(^_^;
映画レビュー立て続けに勢いついてますね。
フッテージなんか生のkenさんからは想像着かない文面で面白かったです。
当方、シーズン終盤しぼんだまま終わってしまって、やや抜け殻状態です(-x-)ノ
by どら七 (2014-05-14 20:26)
同じく、抜け殻状態です。
GW中にもう1回は行きたかったんですけどね。
スノーシーズン終わったんで、むさぼるように
レンタルDVDを観ていますよ。
by Ken (2014-05-15 23:04)