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ペルシャ猫を誰も知らない   @福山駅前シネフク [映画(は)行]

ペルシャ猫を誰も知らない.jpg
満足度 ★★★

昨年、大都市圏では夏に封切られていたこの作品が、年末になってやっと中国地方にもやってきた。ただし、岡山はスルーして福山での上映。

福山駅前にあるシネフクは、大作を上映する大黒座・ミラノ座と、ミニシアター系作品を上映するシネマモード1・2の4館とが同居する貴重な存在だ。しかも駐車場はタダ。ありがとうシネフク、あんたが居なけりゃ見逃すところだったよ。

イランでは、西洋文化が反イスラム的として厳しく規制されている。音楽のライブをするにもアルバムを出すにも届出が必要で、当局の許可無しにライブを敢行したりすれば、演奏者も観客も逮捕されるらしい。

もちろん映画だって例外ではない。映画を撮ろうと思えば、まず脚本を検閲してもらわなくてはならないし、出来上がった作品に対しても厳しいチェックが待っている。

そうなれば当然、芸術家たちは地下に潜るしかなくなる。この作品は、アンダーグラウンドで活躍するイランのミュージシャンたちの様子を、無許可でゲリラ撮影しながら、ドキュメンタリー・タッチで描いている。

軸になるのは、アシュカンとネガルという男女のデュオ。メガネ女子にからっきし弱い私は、ネガル萌え~だった。彼ら自身にも逮捕歴があるそうで、活動の場をロンドンに移すべく準備をしている。

しかし、当局に眼をつけられている彼らにビザがおりるわけはなく、便利屋をしているナデルという男のはからいで偽造ビザを買うことになる。ハリウッド映画の海賊版DVDも売っているナデルの部屋には、マーロン・ブランド若かりし頃のポスター(「波止場」と思われる)が貼ってある。

出国前に地下ライブをしようと企んでいるネガルたちは、さまざまなジャンルのミュージシャンに声を掛ける。ペルシャ語のへヴィ・メタル(スレイヤーっぽい)、ペルシャ語のラップ(オリジナリティ強くカリスマ性あり)など、普通なら聴けないようなものが聴けて面白い。

一番の収穫だったのは、ラナ・ファルハンという女性歌手を知ったこと。彼女の力強い歌声には、魂を揺さぶられるような迫力があった。現在はアメリカで活躍しているらしく、それも充分納得できるパフォーマンスだった。

映画のエンディングは、現在のイラン音楽界の現状を象徴するような暗いもの。彼らが暗闇から脱出できるのはいつになるのだろうか?


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