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ザ・レスラー [映画(さ)行]

THE WRESTLER



















満足度 ★★★★

「ナインハーフ」や「エンゼル・ハート」を観ていない世代、あるいは80年代のロックをリアルタイムで聴いていない世代にとって、この映画はどれほどの意味を持つのだろう? おそらく年齢によって明確に評価の分かれる作品。

撮影に入る前からひと悶着あったらしい。映画会社の上層部は、あるビッグネームに主役を演じさせようとしていた。しかし、ダーレン・アロノフスキー監督は、ミッキー・ローク以外に主役は考えられない、と突っぱねて妥協しなかった。その結果、製作費は4分の1に削られてしまい、出来上がった作品をヴェネチア映画祭に出品した時でさえ、まだ配給元が決まっていなかったという。

喧嘩上等! 漢(おとこ)の映画だ、そうこなくっちゃいけない。

「80年代が最高だった、90年代は大嫌いだ。」と嘆く落ちぶれたレスラー、ランディ・ロビンソンを演じるのに、ミッキー以外誰がふさわしいというのか? 彼の華やかだった頃を知る者は、ランディの人生にミッキーの人生を重ねるのだ。

当然、音楽は80年代を代表するマスターピースばかり。オープニングを飾るQUIET RIOTの"Metal Health"をはじめとして、CINDERELLA、FIREHOUSE、ACCEPT、SCORPIONS、GUNS N' ROSESなど、当時をリアルタイムで知る者にとってはたまらないナンバーが続く。



「コバーン(ニルヴァーナのカート・コバーンのこと)が出てきてからロックはつまらなくなったんだ。」と言うランディの言葉には激しく同意できる。そこに同意できるかどうかが評価の分かれ目になるはずだ。

クライマックス、想いを寄せる女性に見守られながら、決死の思いでリングに上がる彼の背後に流れるのは "Sweet Child O' Mine" だ。この唄の歌詞を知らなければ、いかにこのシーンにふさわしいかがわからないだろう。



そして、エンディングを締めるのは、ブルース・スプリングスティーン。ミッキーとは旧知の仲という彼は、この映画のためにわざわざ " The Wrestler " という曲を書き下ろしている。その哀愁を帯びたメロディは、ミッキーに不遇な時代を忘れさせるためのレクイエムのように思えた。

そういえば、アロノフスキー監督には、「レクイエム・フォー・ドリーム」という作品があったな。


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