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ザ・ウォーカー   @MOVIX倉敷 [映画(さ)行]

WALKER 

 

 

 

 

 

 

 


満足度 ★★★

相変わらずショボい邦題。これじゃストーリーが生きてこないぞ。

戦乱により文明が崩壊してしまった近未来、ただ一冊だけ残った本を携えて、ひたすら西へ向かう男イーライ。神の声に導かれ、彼はもう30年も歩き続けているという。

はあ? さっ… さんじゅーねんっ? そんなアホな…(脱力)

ニューヨークからサンフランシスコまでの距離は約3300マイル。どんなにゆっくり歩いても一日に5マイル(約8km)は歩けるから、日曜日を休んだとしても2年足らずで歩けるはずだ。せめて3年くらいにしておくべきだろう。

まあ、ハリウッド製SFだから、これくらいの大雑把さに驚いてはいけないのだ、我慢我慢。「アイ・アム・レジェンド」みたいにトホホな作品になっても、我慢我慢。焚書系近未来SFの大先輩「華氏451」ほど文芸的な作品じゃなくても、我慢我慢。

イントロダクションは「プレデター」と「ブラッディ・ヴァレンタイン」をミックスしたみたいでなかなかいい雰囲気。序盤のファイティング・シーンも「ブラインド・フューリー」みたいでカッコいい。ストーリーはともかく、映像は極めてスタイリッシュだ。

イーライが体を拭くために大切に持ち歩いているのが、かつてケンタッキー・フライドチキンを買えばタダで付いてきたウェットナプキン。文明の滅んだ近未来では、これが時にはお金にも値するのだ。「これまで見向きもされなかったものを、今では誰もが欲しがるようになった。」と、モノに溢れた近代文明をチクリと風刺している。

と同時に、途中で通過する荒廃した町にJ.PRESSの看板が残っていたり、イーライのバックパックにOAKLEYのロゴが付いていたりと、スポンサーへのヨイショも忘れていない。

アメリカ人にとって、命がけで運ばなくてはならないほど大切な本といえば、もうアレしかないわけで、観る前から予想はついてしまうが、さすがにそれくらいは気付かれると思ったのか、最後にちょっとだけヒネリが加えてあるのが救いだった。

一日の終わりにイーライは第一世代iPodのような携帯プレーヤーで何かを聴く。しかし、いくらなんでもバッテリーが30年はもたないと思う。だから3年くらいにしておけと…
ともあれ、ふらりと立ち寄った町の便利屋で充電を頼むのだが、そこの主人がトム・ウェイツだった。まさにピッタリのハマリ役。

その町は、汚染されていない水源の利権を握っている独裁者カーネギーに支配されていた。演じますは、待ってましたのゲイリー・オールドマン。いよっ!成田屋っ!

わずかに生き残った人々を統治し君臨しようとしている彼は、イーライの本が役立つと考え、手を尽くして奪い取ろうとする。そのあたりから、一気に「マッドマックス」みたいになってしまう。文明が滅んで30年も経って、よくガソリンが手に入るなあ、と疑問に思うけど、そこも我慢我慢。

カーネギーの追っ手から逃れる途中、完全武装した夫婦の家に招かれ、そこを総攻撃されて家が完全に崩壊するシーンがあるが、あれはクリント・イーストウッドの「ガントレット」へのオマージュだったのだろう。

イーライから力ずくで本を奪い取ったものの、いざ開いてみると、カーネギーには読むことができなかった。ここが一番面白いところ。彼の情婦クローディアがああいうシチュエーションだったのは、このための伏線だったのか。

久しぶりに見るクローディア役のジェニファー・ビールスがいい。デンゼル・ワシントンとは「青いドレスの女」以来の共演だと思うが、いい齢のとりかたをしている。さすがにもうダンスはできないだろうけど。

カーネギーに本を奪われたイーライは、クローディアの娘ソラーラと共に、再び西を目指して歩き始める。毎日読んでいたので、彼の頭の中には本の内容が完全に残っていた。ついに彼は最終目的地であるアメリカの西の端に到達する。

最終目的地は、クリント・イーストウッドやニコラス・ケイジの主演作品であまりにも有名な場所だった。そこで、イーライの言葉を文字に起こすことにより、彼の頭の中の本は完全に再現される。

F451「華氏451」に状況が似ているが、活版印刷機を用いて本として残すところが決定的に異なる。





そこで終わると思いきや、「歩く人」の役割が今度はソラーラに受け継がれるのだ。彼女の風貌がアンジェリーナ・ジョリーにそっくりなので、思わず心の中でこう突っ込んだ。

「また歩くんかい! しかも今度はトゥームレイダーかい!」


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コメント 4

でかのすけ

はい、また歩くんです。我慢我慢。
by でかのすけ (2010-09-28 10:51) 

でかのすけ

ポチって押しても、映画レビューの小さな画像しか見えないで、戻らざる得ませんけど…我慢我慢。
ナイスの入れ方…歩きながら…チャレンジしますね!

ではまた歩くんです。
by でかのすけ (2010-09-28 10:56) 

でかのすけ

文無しですから…。
はい、だからこそ歩くのです。

本当に誰かに、大切な事や嬉しい事伝えたい時、辛い手続きすらをも、歩く=足を運んで「満足」なんです。←自己満に過ぎないのかもね♪
by でかのすけ (2010-10-01 20:12) 

でかのすけ

はい、這いつくばって、歩きましょうか。仕方ねぇーもんね。
by でかのすけ (2011-06-21 06:34) 

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