黒部の太陽 @シネマクレール [映画(か)行]
満足度 ★★★★★
これを映画館で観られるとは思わなかった。ありがとう、シネマクレール。
石原裕次郎さんが日活から独立して石原プロモーションを立ち上げ、すでに独立していた三船敏郎さんと一緒に制作した作品。
当時は監督も役者も映画会社の専属で、移籍することもレンタルすることもできなかったため、裕次郎さんはキャスティングの段階から大変苦労したらしい。
そこに手を差し伸べたのが、劇団民藝を主宰していた宇野重吉さんだった。だから出演者は劇団民藝に関わる人で固められている。もちろん宇野さんも出演しているのだが、息子の役を実の息子である寺尾 聰さんが演じていたのは知らなかった。
ドラマのメインになるのは、山深い黒部の谷まで資材を運ぶための大町トンネル(現在の関電トンネル)の掘削工事である。途中に破砕帯が走っており、大量の出水に工事は困難を極め、たった80メートルの破砕帯を突破するのに多くの犠牲者を生み、長い年月を要したのだ。
三船さん、石原さんを含め、どの役者さんも迫真の演技、工事を担当した熊谷組の敷地内に実物大のセットを組み、実際に大量の水を流して撮影したというから、リアルさが全然違う。今から45年も前にこのようなスケールの大きい映画が作られていたことに、あらためて驚かされた。
この作品には石原さんの並々ならぬ情熱が注ぎ込まれており、是非とも劇場で観てほしいという意向から、これまでビデオ化もDVD化もされていなかった。かといって、劇場公開されることもまずなく、おそらくもう一生観ることができないだろうなと諦めていた。
ところが今年の春、石原プロモーション設立50周年ということで、Blu-rayおよびDVDが発売されたらしい。う~ん、これまで何十年もおあずけをくらっていたオジサンは嬉しさ半分悔しさ半分だぞ。
とはいえ、やっぱりこれは劇場で観てあげなきゃ石原さんが浮かばれないでしょ。てことで、この時期上映に踏み切ってくれたシネマクレールの心意気にはいくら感謝してもしきれませんね。日本人なら絶対に観ておくべき1本。
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タグ:黒部の太陽
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