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星の旅人たち   @シネマ・クレール [映画(は)行]

星の旅人たち.jpg
満足度 ★★★★☆

Buen Camino! (良き旅路を)

次にスペインを訪れる時は、サン・セバスティアン、ビルバオ、オビエドを巡り、最後はサンティアゴ・デ・コンポステーラ、と決めている自分にとって、この映画は最高の贈り物だった。

カリフォルニアで眼科医をしているトムは、ひとり息子のダニエルがスペインで不慮の死を遂げたという知らせを受ける。ダニエルは、フランスからピレネー山脈を越えてスペインの西端サンティアゴ・デ・コンポステーラまで続く巡礼の道を歩こうとしていたが、その初日に嵐に巻き込まれたのだった。

すでに妻はなく、一人で息子の亡き骸を引き取りに行くトム。父子の間には長年にわたる確執があった。息子はどういうつもりだったのだろう、それが気にかかった父は、灰になった息子をバックパックに詰め、自分が代わりに巡礼の道を歩くことにする。

トムの住んでいるのがカリフォルニアのヴェンチュラ、という設定にまず萌える。ヴェンチュラといえば、この名曲に唄われている場所でっせ。


巡礼の道を歩き始めた時に流れるのがJTのこの曲。ピッタリだ。


旅の途中でいろんな人たちに出逢うわけだが、はっきり言ってどうでもよかったな。いかにも作り話っぽいキャラ設定ばかりで。とりわけ、スランプに陥ってるとかいうアイルランド人の自称小説家なんか、本当にどうでもよかった。

そんなことより、主演のマーティン・シーンは本名をラモン・エステベスといい、お父さんがスペインのガリシア出身で、ガリシアというのは、まさにこの映画で描かれた巡礼の道のある所で、映画の脚本・監督そして息子役を務めたのがマーティンの長男エミリオ・エステベスだから、この作品はエステベス家のルーツを辿る旅でもあった、ということの方がよほど面白い。

スペインを訪れるとわかるのだが、スペインは一つの国ではなく、実際は四つの国からできている。マドリッドを中心とするカスティージャ、バルセロナのある南部のカタルーニャ、北東部のバスク、そして北西部のガリシアだ。本来はそれぞれ言葉が違うが、内戦で勝利したカスティージャの言葉を、他の地域の人々は無理やり押し付けられているので、彼らはいつか独立してやろうと思っている。

トムがバスク地方の宿泊所で「スペインは初めてなんだ。」とつぶやいた時、「ここはスペインじゃないよ、バスク国だ。」と言われるシーン、「タパスをくれ。」と小皿料理を頼んだら、「それはマドリッドの言い方だね。ここではピンチョスだ。」と言われるシーンは、そのへんの事情を知らないとわかりにくいかもしれない。

通過地点ごとに少しずつ息子の灰を置いてゆき、最後にガリシアの海に灰を撒き散らすトムの背中が、見ていられないほど寂しそうだった。少しは息子のことをわかってやれたのだろうか。遺品を抱いてカリフォルニアに帰ってから、寂しさがさらに実感としてわいてくるんだろうな、と父親目線でエンディングを観た。



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